眼科医療経済等

[No.1457] 「学術的根拠に基づく診療報酬の適正化、外保連、内保連について」堀裕一先生

清澤のコメント:日本の眼科の2月号のわかりやすい臨床講座で、堀裕一先生は「学術的根拠に基づく診療報酬の適正化、外保連、内保連について」を説明しています。以前私も日本神経眼科学会で、保険診療に取り入れていただきたい項目をリストアップする委員会に指名して戴いたことがありました。しかし、当時はこのような項目があると良いなという発想を超えられず、このような戦略的な視点を持って点数改訂を考えることはできませんでした。現在の委員の方々が、引き続き苦労されている様子がよくわかりました。先にマイボーム腺機能低下の治療に関するガイドラインの解説の項目で、「効果はあるかもしれないが、薬効にそのままの記載がないので弱くしか推奨しない」という記載に多少驚いたものでした。しかし、この講義を読むと、そもそもガイドラインを作るときには治療の有効性をガイドラインで主張するという順番での視点も必要なようです。

   ーーーー講義の要点ーーーー

 進歩する医療技術に対して適正な診療報酬(保険点数)を付けるため、2年ごとに診療点数改訂が行われている。厚労省に対する各学会からの要望は外保連(外科系学会社会保険委員会連合)と内保連(内科系学会社会保険委員会連合)が取りまとめて提出し、医療技術評価分科会で評価される。要望書の作成の際に重要なことは1)エビデンス(論文)、2)各学会でのコンセンサス(ガイドラインや指針)、3)技術導入による社会的影響(件数、コスト予想)であり、それらについてしっかり記載する必要がある。特に最近はガイドラインへの記載の有無が重視されており、ガイドライン作成時に将来の診療報酬に対する影響についても念頭に置く必要があると考える。

Ⅴ:要望提出から診療報酬改定までの流れ:最近では2022年に診療報酬改定があった。次回の診療報酬改定は2024年4月であるが、各学会からの要望書提出の活動はもうすでに始まっている。日本眼科学会は27の関連学会のうち外保連に加盟していない学会に対して2024年4月の診療報酬改定に関する要望項目のアンケートを行い、各学会からの意見をまとめて順位をつけて2022年11月に外保連に、12月に内保連にそれぞれ2024年診療報酬改定における要望事項を提出した。今後それぞれの要望に対して要望書を作成し2023年6月に外保連を通じて厚労省に提出する。その際に重要なことを図1に示した。

 厚労省との交渉(ヒアリング)は改訂前の年の夏で、団体で説明交渉する。各学会の持ち時間は30分。各要望項目を10分程度で説明する。ヒアリング後、医療技術評価分科会で要望項目が検討され、評価の高かったものがちゅい協で戦闘され、保険収載となる。

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