眼科医療経済等

[No.3319] AI が医療をどのように変えるか – 消費者直販モデルの台頭:記事紹介

AI が医療をどのように変えるか消費者直販モデルの台頭

清澤のコメント:医師がAIを使うのではなく、患者が直接AIに問いかけるシステムも考えられているようです。

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【はじめに】
近年、人工知能(AI)の進歩が医療分野に革新をもたらすと期待されています。AIは、病気の診断、治療法の提案、今後の健康状態の予測など、さまざまな面で役立つ可能性があります。しかし、従来の医療機関(HCO)と新しい消費者直販型(DTC)の医療サービスでは、AIの活用方法やその効果に大きな違いが見られます。

AIが切り拓く医療の可能性】
最新のAI技術や大規模言語モデル(LLM)は、画像診断や病理検査、放射線検査などで高い精度の診断と予後予測を実現する可能性を示しています。たとえば、早期に病気を発見し、適切な治療計画を立てる手助けとなることが期待されています。ただし、技術的な制約やデータの偏り、モデルの更新管理など、解決すべき課題も残っています。

【従来の医療機関の課題】
従来の病院や医療システムは、既存の電子カルテ(EHR)などの固定化された仕組みの中でAIを導入しようとしています。そのため、システムとの統合やデータ管理の厳格な監視、偏りの防止といった点で多くの制約があり、AIのポテンシャルを十分に引き出しにくい状況です。また、限られた予算や人材の中でイノベーションを推進するのは容易ではありません。

【消費者直販型医療の台頭】
一方、Amazonなど大手テック企業が提供するDTC医療は、従来の医療機関の枠を超えて、直接消費者にサービスを届けるモデルです。これにより、遠隔診療やプライマリケア、薬局サービスが迅速に利用できる環境が整いつつあります。DTC企業は、柔軟なシステムと豊富なデータを活用し、個々の患者に合わせたケアを提供するため、初期相談やセカンドオピニオンとしてのチャットボット利用も進んでいます。

【医療データの新たな管理方法】
かつては病院が一手に管理していた電子医療情報(EHI)が、近年の法改正により患者自身がスマートフォンなどで簡単にアクセスできるようになりました。AppleのヘルスケアアプリやAndroid対応のアプリを通じ、受診先の異なる医療機関での診療記録を一元管理することが可能です。これにより、ウェアラブル端末や生活習慣から得られるデジタル情報と連携し、よりパーソナライズされた医療が提供されるようになっています。

【リスクと懸念点】
DTC
医療は迅速かつ柔軟なサービスを提供できる一方で、規制が緩やかな点や利益追求の姿勢が強調されがちな点が懸念されています。実際、一部の遠隔医療サービスでは、患者の安全よりも収益を優先し、過剰な薬の処方が問題となった事例もあります。また、従来の厳格な医療データ管理から、よりオープンな環境へとシフトすることで、プライバシーやセキュリティのリスクが高まる可能性も指摘されています。さらに、デジタル技術へのアクセスや利用に不慣れな高齢者、ブロードバンド環境が整っていない地域では、新たな医療サービスの恩恵を十分に受けられない恐れもあります。

【今後の展望】
今後、医療は従来の病院とDTC企業がそれぞれの強みを生かしながら連携する形で進化することが期待されます。医療リーダー、テック企業、さらには規制当局が協力し、患者の安全性やプライバシーを守りつつ、AI技術を効果的に活用できる仕組みを構築することが急務です。最終的には、患者が安心して質の高い医療を受けられる環境を整えることが、今後の医療改革の鍵となるでしょう。
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20252 24

AI が医療をどのように変えるか消費者直販モデルの台頭

ケネス・D・マンドル医学博士、公衆衛生学修士1,2

著者所属 記事情報

JAMA2025224日オンライン公開。doi:10.1001/jama.2025.0946

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