清澤のコメント:医師との相性が悪い!と思ったらやるべき3つの対策という記事がありました。こんな例は少なくはないと思います。
要点:
- 医師との相性が悪いと感じる場合、曜日を変更する、同じ曜日の別の医師に変更する、別の病院に変更するという3つの対策がある。
- 曜日を変更する場合は、外来担当医が異なる曜日に通院することで医師を変えることができる。仕事や家庭の都合などで曜日変更を希望する人は珍しくないため、担当医に理由を伝えればよい。
- 同じ曜日の別の医師に変更する場合は、同じ曜日に外来をしている別の医師に診てもらうことで医師を変えることができる。外来担当表を確認して、外来看護師や担当医に希望を伝えればよい。
- 別の病院に変更する場合は、転居や信頼できない医師などで病院を変えざるを得ない場合がある。その際は、必ず診療情報提供書(紹介状)を書いてもらうことが重要である。診療情報提供書には、これまでの治療経過や検査結果などが記載されており、転院先の医師に必要な情報を提供することができる。
- 安易な医師や病院の変更には一定のリスクがあることも知っておくべきである。治療経過や反応はその後の治療方針に影響するため、情報量の差や判断ミスが生じる可能性がある。また、治療がうまくいっていないように見えても、実は効果が出始めていたり、他の治療法と併用すれば効果が出たりすることもある。
例えば、当医院では毎週の日曜日に別の経験のある医師に診察してもらっております。医師サイドでは、患者さんに医師を変えられることには、患者さんが思うほどの抵抗は感じないものです。担当医が変わってしまうような日程で受診するというあたりから始めてみるのが良いでしょう。また、私は、自分が「街の開業医であることを肝に銘じて」、ある程度治療に難渋しそうな患者さんでは、大病院の知り合い医師に早めに紹介を出します。しばらくして病状が落ち着いたら戻ってきてくださることを歓迎します。
この記事が言う様に、自分の意思で飛び出すと、その後の検査の重複などでかえって本人の不利益になることもあるでしょう。
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病院に一定期間通っているうちに、担当の医師との相性が悪くて悩んだ、という経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか?いくら有能で人柄が良い医師であったとしても、人間同士には相性があります。医師との相性が悪いと病院に通うのも苦痛になり、それは治療に悪影響を及ぼします。
とはいえ、「あなたとは相性が悪いので医師を代えてもらえませんか?」と直接言うのは難しいでしょう。そこで今回は医師の立場から、こういう場面でどんな対策を取ればよいか、具体的に提案してみたいと思います。
◇曜日を変更する
仕事の関係で特定の曜日しか病院に通うことができない、という人を除いては、「曜日を変更する」というのは一つの手です。
病院では、曜日によって外来担当医が異なるのが一般的です。特に大きな病院では、月曜から金曜(あるいは土曜)までそれぞれ別の医師が外来を担当するのが普通ですから、曜日を変えれば医師が変わります。人が少ない科では、一人の医師が週に2回以上外来を行っているケースもあるため、事前に病院のホームページで外来担当表を確認するのがよいでしょう。
曜日の変更に細かい理由は必要ありません。例えば「今、月曜に通っているのですが、種々の事情で都合が悪くなったので火曜に変更してくれませんか?」と言えばよいだけです。実際に、仕事の都合や家庭の事情で曜日変更を希望される方は珍しくありません。
なお、毎日同じ医師が診察するクリニックの場合は、もちろんこの手は使えません。
◇同じ曜日の別の医師に変更する
曜日の変更が難しい方は、同じ曜日に別の医師が外来をしていないかどうか確認しましょう。これも、外来担当表を見れば簡単に分かることが多いはずです。
人数が多い科では、同じ曜日に2人以上の医師が外来を行っていることがむしろ普通です。別の部屋で外来を行っている医師に変更してもらえば、自分のスケジュールを大きく変える必要がなくなります。
「A先生の外来に通いたいのですが、よいでしょうか?」と担当の医師に直接伝えてもよいですが、抵抗がある方も多いでしょう。その場合は、外来看護師にその希望を伝えることをお勧めします。
病院によっては、午前と午後で医師が異なるケースもあります。その場合は曜日を変えずに時間を変えることで医師を変えることも可能です。こちらも外来担当表を参照すると良いでしょう。
◇別の病院に変更する
病院を変更してしまう、という方法です。開業医の先生が外来を行うクリニックではこの方法しかありません。また担当の医師だけでなく、病院全体の対応に不満がある、といったケースでは、違う病院に通いたい、という気持ちになるでしょう。この場合に決してやってはいけないのは、担当医師に何も告げることなくこっそり別の病院に行く、ということです。
私は実際に別の病院からこのようにしてやってきた患者さんを診療することがあります。この際、それまで通っていた病院でどんな検査や治療を受け、どんな経過をたどったのか、どんな診断を受けているのかなどが全く分からず、困惑することが非常によくあります。
ご本人は「これらの情報を自力で伝えることができる」と信じてやってきているのですが、まず的を射ない説明をされることがほとんどです。治療経過を正確に説明できるのは、その患者さんを直接診療した医師だけです。
実際に患者さんを診療していない人は、たとえ医師でも治療経過を説明するのは困難です。よって、必ず診療情報提供書(紹介状)を書いてもらう必要があります。
「別の病院に行きたい」と直接言うのは抵抗があるかもしれませんが、転居や、子供の送り迎えの都合、交通手段の変更、職場の変更など、実にさまざまな理由で病院を変更せざるを得ない人はいます。
病院を変更したい旨を医師に伝えることに、さほど抵抗を感じる必要はないでしょう。くれぐれも、何の情報も持たずに病院を飛び出すことのないよう気をつけましょう。
なお、最後に「安易な医師の変更や病院の変更には一定のリスクがある」ということを述べておきます。
医師や病院の変更が、必ずしも患者さんの治療にとってプラスになるとは限りません。これについては私のブログの「病院を変える時(転院時)やセカンドオピニオン外来時の注意点と準備すべきこと」という記事で詳しく説明しています。ぜひ、お読みいただければと思います。
(2018/05/02 10:00)
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