「がん免疫療法」うたう自由診療に潜む本当の怖さ日本人は「あやしい医療」の実態を知らなすぎる 勝俣 範之 : 日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授、 2024/11/01 6:40の記事が出ています。自分が病気になれば、少しでも楽で根治が得られる眼知慮を求めたくなるのは人情と言えましょうが、癌の「標準的医療」は多くの人々の血と涙の結果で導き出された最も有効な治療法であるという事を思うべきではありましょう。
―――要点は――――
がん自由診療のリスク
近年、自由診療によるがん免疫療法の危険性が増加しており、進行がん患者が自由診療クリニックで未承認の物質「ガスダーミン」を投与され、死亡する事故が報告されました。ガスダーミンは2020年にがん細胞攻撃の可能性が示唆されたものの、まだヒトでの安全性や有効性は不明です。また、サイトカイン症候群などの重篤な副作用が懸念されています。このような物質をヒトに用いる際には、まず安全性を確認する厳密な臨床試験が必要です。
臨床試験の厳密なプロセスとその意義
新薬はまず動物実験で安全性を確認し、その後第1相試験を経て、人間への安全性が確かめられます。このプロセスは非常に厳格で、特にがん治療薬の試験はがんセンターのような専門施設でのみ行われます。臨床試験には、第1相から第3相試験まで段階があり、最終的に有効性が証明された後、保険適応となるまでの長い道のりが必要です。しかし、自由診療ではこれらの厳格な基準が適用されず、未検証の治療が行われることが問題視されています。
自由診療が広がる原因
自由診療が増加している背景には、医師の裁量権が適用されることで規制が不十分な点が挙げられます。がん患者は治療の可能性にかけて多額の費用を支払うことがあり、自由診療で高額な医療費を設定し利益を得るクリニックが存在します。また、がん専門医ではない美容系クリニックなどが自由診療を行う例も増えており、患者側の弱みにつけこむケースも少なくありません。
怪しい自由診療を見極めるポイント
患者が怪しい自由診療に騙されないためのポイントは以下の3点です:
- 健康保険が使えない自由診療
- 「がんが消えた」「治った」などの断定的な表現
- 体験談が強調されている
日本は国民皆保険制度を有し、有効な治療は保険適応となるのが原則です。承認されていない治療法で効果をうたっている場合は注意が必要です。また、医療広告ガイドラインにより、体験談を載せることは禁止されており、信頼性が乏しいとされています。治療の専門医が在籍しているかも確認が重要です。
このような自由診療に警戒し、信頼できる治療法を選ぶためには、国民皆保険の有効性や医療広告ガイドラインの理解が求められます。
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