眼科医療経済等

[No.3422] 経営の厳しい要因が開業医では『24年度改定』が最多だった:(M3アンケート)

m3.com記事「経営厳しい要因、開業医では『24年度改定』最多にVol.2」より

〜医療の専門知識がない方にも分かりやすくまとめました〜

清澤のコメント:

私はコロナ禍の中で、それまで江東区で経営していた診療所をM&Aで手放し、その後、経営リスクを比較的抑えられる新しい診療所を約3年4か月前に開設しました。

それでも最近、医療システム全体が「黒字を出しにくい体質」に変わってきていることを、日々ひしひしと感じています。そんな中、医療従事者向け情報サイトm3.comが行ったアンケート結果が公開されていました。

私のように、すでに人生の山場を越えた世代にはまだ耐えられるかもしれませんが、これから一人で社会に出ていく若い医師たちにとっては、今の状況はかなり厳しく、将来に希望が持ちにくいかもしれません。

やがて、高齢の医師たちが大量に引退することになると、それによって生じる人材不足のツケが社会全体に回ってくるでしょう。これは、農業の担い手が減って米の生産量が落ち、米不足から価格が高騰している状況と似た構造だと感じています。


【記事要約:医療経営、かつてない厳しさ】

m3.comが2025年3月に実施した全国調査では、「現在の医療経営はこれまでで最も厳しい」と感じている医師が多数いることが分かりました。

1. 開業医にとっての最大の問題:「2024年度の診療報酬改定」

診療報酬とは、医療機関が保険診療で受け取る公的な支払いのことです。2024年度の見直しでは報酬が減額され、これが開業医にとって大きな打撃となりました。

2. 病院では「患者数の減少」が深刻

新型コロナの流行後、患者数が元に戻らず、特に高齢者の死亡や子どもの人口減少が影響しています。都市部でも「患者が来ない」「高齢の患者が亡くなってしまった」といった声が多く聞かれました。

3. 経費増と収入減:赤字経営に直面する医療機関

物価や人件費の上昇も重なり、経費がかさむ一方、収入は減少。ある開業医は「業者からの請求が4割増しで、赤字になっている」と嘆いていました。真面目に診療していても利益が出ない現状です。

4. デジタル化(DX)の推進も現場では負担に

政府の方針で医療のデジタル化が進められていますが、電子カルテなど新しいシステムの導入には費用も労力もかかります。にもかかわらず、報酬は下がるため、「むしろ負担が増えた」との声が上がっています。

5. 医師たちの切実な声

「現場の負担が限界」「診療報酬をもっと現実に合わせてほしい」「意味のないシステム導入で困っている」など、国の政策に対する不満や不安が多く寄せられました。

この調査は、全国の病院・診療所で経営に関わる医師905人を対象に、2025年3月11日〜19日に実施されたものです。

 

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