開業医を見下す風潮に、少し思うこと
〜日々患者さんと向き合う現場から〜
こんにちは。自由が丘清澤眼科の清澤です。
今日は、開業医という立場で日々診療を続ける中で、あらためて感じたことを記してみたいと思います。きっかけは、今朝ネットで読んだ小児科医・松永正訓先生のコラム「大学病院で出世する医師が偉いのか」(オピニオン2024年10月27日配信)でした。
松永先生の文章は、開業医に対する世間の偏見に正面から向き合い、率直に語られた素晴らしい内容でした。共感すると同時に、私自身の経験とも重なり、深く考えさせられました。
「開業医は大学病院からはみ出した人」というような言説、あるいは「町医者」という言葉に込められた無神経さは、今も社会の一部に根強く残っています。私自身も、開業してからというもの、「本当の治療は病院でやるもので、クリニックはその前段階」といったニュアンスの言葉を、直接・間接に耳にしてきました。
けれど、開業医の現場は、決して“仮の場所”ではありません。私たちは、患者さんの生活に最も近い場所で、不安や違和感、ささいな変化に丁寧に耳を傾けながら、日々医療に取り組んでいます。
重症を見逃さず、必要なタイミングで専門医療につなぎ、検査や処方を適切に調整する。それは単なる“振り分け”ではなく、患者さんの人生と生活に即した医療判断です。この仕事には、誇りがあります。
松永先生のコラムには、1歳児の腸重積を早期に診断したご自身のエピソードが紹介されていました。わずか2回の嘔吐から異変を察知し、迅速に対応された例は、まさに「地域医療の最前線」で求められる力を物語っています。
これは眼科でも同様です。開業医のもとには、白内障、緑内障、網膜疾患、屈折異常、ドライアイ、あるいは心理的背景を持つ視覚の悩みまで、幅広い症例が日々持ち込まれます。大学病院では得がたい、患者さんとの長期的な信頼関係の中でこそ見えてくる変化や課題もあります。
それでもなぜ、開業医が正当に評価されにくいのか。その背景には、報道の偏り、大学中心の医学界の力学、あるいは医療全体に対する市民の漠然とした不信感など、さまざまな要素があるのかもしれません。
ただ、確実に言えるのは、診療の現場に立ち続ける中で、私たち開業医が担う価値は、日々の診療にしっかりと根づいているということです。
年月を重ねるうちに、患者さんの声に耳を傾け、ご家族の想いにふれ、悩み、考え、ともに歩む中で、医師として、人として成長していく。たとえ派手さはなくとも、日々の積み重ねが揺るぎない自信と誇りにつながっていきます。
「今日はこんな病気の方を診た」「こんな場面で力になれた」。そのような思いが、私が日々このブログを書き加えている原動力です。其処に完成形はありません。同じテーマも何度でも掘り下げて書いていきたい。間に合えば、出来た記事をその患者さんに郵送もしています。
患者さんの「ここに来てよかった」の一言が、どれだけ私たちの心を支えてくれているか。パン(お金)よりも大切な何かが、そこには確かにあるのです。
私たち開業医が、自らの仕事にもっと自信を持ち、誇りをもって声を上げていくこと。それが、この風潮を変えていく最初の一歩になるのかもしれません。
自由が丘清澤眼科 院長 清澤源弘
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