清澤のコメント:網膜色素変性症や加齢黄斑変性のように、網膜神経節細胞よりも上位の視覚関連構造が正常で、網膜が侵された患者を対象とする人工眼 バイオニックアイ(人工網膜)と呼ばれるものの開発が米国およびヨーロッパで行われていましたが、中国でも類似のものが開発されたという事でしょうか?この手のデバイスでは人工物と神経細胞などの生体との長期にわたる適合性が重要な問題となるようです。
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専門家が「ナノ人工光受容体」を開発、視覚機能回復に期待―中国
2023年11月28日 17時30分
中国の医学専門家は酸化チタンナノワイヤーアレイ人工光受容体を利用し、失明したマウスと非ヒト霊長類モデルの視覚機能回復の実現に成功した。中国新聞網が伝えた。
研究チームはアカゲザルの目に人工光受容体埋め込み手術を行い、埋め込みから54週間にわたり、安定性と生体適合性を保った。画像提供・復旦大学附属眼耳鼻喉科病院
復旦大学脳科学研究院脳機能・脳疾患全国重点実験室の張嘉漪氏他の複数のチームが協力し、関連する研究開発を行った。論文は「Nature Biomedical Engineering」の最新号にオンライン掲載された。
チームが研究開発した人工光受容体を失明マウスの眼底に埋め込むと、マウスは低い光強度の発光物の位置を正確に識別できるようになった。視運動反応試験の結果によると、人工光受容体が埋め込まれたマウスの空間分解能は正常なマウスの水準に近づいていた。チームがアカゲザルの目に人工光受容体移植術を行ったところ、埋め込みから54週間にわたり、安定性と生体適合性を保った。人工網膜埋め込み箇所の光点刺激は、アカゲザルの視覚誘導によるまぶたの痙攣を引き起こした。
張氏は取材に対し、「研究はこの人工光受容体が網膜退行性疾患患者の視覚機能を回復させるのに有効となる可能性があることを証明し、今後の臨床試験に有力な根拠を提供している」とした。また姜氏は、「これは臨床上の主要疾患群の一つに対して非常に重要な意義を持つ。関連疾患の患者は将来的に、この独創的な『ナノ人工光受容体』の受益者になる可能性がある」とした。(提供/人民網日本語版・編集/YF)
- これと似た記事には香港から:nature に2020年にも次の記事が出ています。
半球状ペロブスカイトナノワイヤアレイ網膜を用いた生体模倣眼
- レイレイ・グー,ほかで、Nature volume581,pages278–282 (2020)
人間の目は、非常に広い視野、高解像度、低収差の感度など、優れた画像感知特性を持っています1.このような特性を持つ生体模倣眼は、特にロボット工学や視覚補綴物において非常に望ましい。しかし、生体の眼球形と網膜は、生体模倣デバイスの製造に大きな課題をもたらします2、3.ここでは、ヒトの網膜上の光受容体を模倣したナノワイヤの高密度アレイで構成された半球状の網膜を持つ電気化学眼を紹介します。このデバイス設計は、人間の目と構造的に類似しており、個々のナノワイヤを電気的にアドレス指定することで、高いイメージング分解能を達成できる可能性があります。さらに、生体模倣デバイスに投影された光学パターンを再構築することにより、生体模倣デバイスの画像センシング機能を実証します。この研究は、幅広い技術応用に利用できる生体模倣光センシングデバイスにつながる可能性があります。
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