ハードコンタクトレンズを常用している患者が細菌性結膜炎を発症した場合、角膜結膜の状態を見たうえで細菌培養を提出します。その細菌培養で陽性反応が出やすい細菌にはいくつかの種類があります。以下に代表的なものを挙げます:
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黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus): 眼科領域でよく見られる細菌で、コンタクトレンズ装用者にも関連します。皮膚やまぶたに常在しているため、コンタクトレンズへの接触を通じて感染を引き起こすことがあります。特徴: 充血、目やに(粘性や黄色の膿性分泌物)、眼瞼の腫れや紅斑が典型的。しばしば睫毛根部にかさぶたが形成されることがあり、慢性化することもあります。頻度: 成人で最も一般的な細菌性結膜炎の原因の1つ。
- 表皮ブドウ球菌 (Staphylococcus epidermidis): 常在菌として知られていますが、コンタクトレンズ使用者においては時折病原性を示し、細菌性結膜炎を引き起こすことがあります。:特徴: 軽度の充血や目やにがみられるが、症状は比較的軽度。分泌物は透明から白色で、水っぽいことが多い。頻度: 常在菌であるため、感染は軽度であることが多く、免疫力が低下している時に症状が現れやすい。
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インフルエンザ菌 (Haemophilus influenzae): 特に小児に多い細菌ですが、成人でもコンタクトレンズ装用者が感染することがあります。:特徴: 急性の発症、激しい充血、大量の膿性分泌物、眼瞼の腫れが典型的。特に小児で急速に進行することがあり、場合によっては耳鼻咽喉系の感染症も伴います。頻度: 特に子どもに多いが、成人でも発生することがあります:
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モラクセラ (Moraxella spp.): 特にハードコンタクトレンズ使用者に多いとされる細菌で、汚染されたレンズやケースから感染が起こることがあります。:特徴: 重度の角結膜炎を引き起こすことがあり、分泌物は膿性。冬季に多く、免疫低下時に発症しやすい。しばしばハードコンタクトレンズ装用者で見られます。頻度: ハードレンズ装用者で高い頻度が報告されています:
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緑膿菌 (Pseudomonas aeruginosa): 特にソフトコンタクトレンズ使用者に多いですが、ハードレンズ使用者でも不適切なレンズケアが原因で感染が起こることがあります。緑膿菌は角膜潰瘍を引き起こす危険が高いため、注意が必要です。:特徴: 非常に急速な進行が特徴で、重度の充血と大量の膿性分泌物が見られることが多い。角膜潰瘍を伴う場合は、強い痛みや視力障害が生じ、放置すると失明のリスクが高い。頻度: ソフトコンタクトレンズ使用者に多いが、ハードレンズ装用者でもケアが不十分な場合に感染することがあります。
これらの細菌の感染を防ぐためには、レンズの適切な清掃やケア、また感染の兆候が見られた際には速やかな医師の診察が重要です。
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