先日、長期装用型ハードコンタクトレンズが耳側の眼球結膜に張り付いて取れないという患者さんが来院されました。レンズには汚れが蓄積し、結膜に強く吸着していました。今回は、このようなハードコンタクトレンズが角膜の耳側眼球結膜に張り付いて取れないケースについて、原因、症状、対処法を以下にまとめます。
原因
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レンズの長時間装用
長期間レンズを取り外さないと、涙液の供給が不足し、レンズが乾燥しやすくなります。その結果、レンズが結膜に吸着しやすくなります。 -
レンズの汚れや沈着物
レンズに汚れが蓄積すると表面がざらつき、涙液中の脂質やタンパク質が沈着します。これにより摩擦が増加し、レンズが結膜に貼り付く原因となります。 -
涙液の不足(ドライアイ)
涙液の分泌が低下すると、コンタクトレンズの潤滑が不十分になり、レンズが結膜に吸着しやすくなります。点眼液を使用すると、外れやすくなることもあります。 -
フィッティングの不良
レンズのカーブが角膜に合っていない場合、特定の部分に圧力が集中し、レンズが張り付くことがあります。
症状
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異物感
患者さんはレンズが外せなくなる前に、強い異物感や不快感を訴えることが多いです。 -
視界のぼやけ
レンズの汚れや結膜への吸着により、視力が低下することがあります。 -
結膜の充血・炎症
レンズが吸着することで結膜が傷つき、充血や炎症が引き起こされることがあります。 -
レンズが動かない
通常の瞬きや指で外そうとしても、レンズが結膜にしっかりと貼り付いているため、動かなくなることがあります。
対処法
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無理にレンズを外さない
無理にレンズを取り外そうとすると、角膜や結膜を損傷する恐れがあります。適切な方法で眼科医が取り外すことが必要です。 -
生理食塩水や人工涙液の使用
レンズ周囲に生理食塩水や人工涙液を少量点眼し、レンズと結膜を潤滑させることで、レンズが緩みやすくなります。 -
眼科医による慎重な取り外し
レンズが強く張り付いている場合、眼科用のピンセットや吸引器具を使用して慎重に取り外すことが推奨されます。 -
レンズの清掃・交換
吸着が頻発する場合、レンズの表面を適切に清掃し、必要に応じてレンズ自体を交換することを患者さんに勧めます。 -
装用時間の見直し
長期装用型のハードコンタクトレンズを使用する際でも、定期的に外してレンズケアを行うことが重要です。ドライアイが疑われる場合は、眼科医の指導に従って装用時間を短縮することが求められます。
このような症例では、再発防止のためにフィッティングの再評価や涙液の評価も重要となります。
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