眼瞼疾患

[No.2944] 打撲に伴う眼瞼裂傷の処置は以下の点に注意:

眼瞼裂傷も眼科開業医が突然直面しやすい疾患です。打撲に伴う眼瞼裂傷の処置において、以下の点に注意する必要があります。

視力評価

眼瞼裂傷が眼球自体に損傷を及ぼしていないか、視力の変化や眼球の外傷の有無をまず確認します。視力の低下があれば、眼科専門医による精密検査が必要です。

裂傷の深さと位置

裂傷が浅いものか深いものかを確認し、皮膚のみの損傷か、筋層(眼球周囲には眼輪筋などの皮筋がごく浅い層にあります)や涙道(涙小点と目頭の間にあり、部位がこの部分だと断裂しやすいです)、眼瞼縁に達しているかどうかを評価します。特に、涙小管や涙腺に近い裂傷では特殊な処置が必要です。

異物の除去

眼瞼や周囲に異物が残っている場合、感染や組織損傷を避けるため、異物は丁寧に除去する必要があります。異物の除去が難しい場合、専門医への依頼が推奨されます。

止血

裂傷部からの出血が多い場合は、圧迫止血を行います。ただし、強い圧迫は眼球を損傷する可能性があるため、適切な力加減で行うことが重要です。持続的な出血がある場合、縫合や焼灼止血が必要になることがあります。

眼球損傷の確認

打撲に伴って眼球自体にも損傷が生じている場合、すぐに専門医による診察が必要です。裂傷部位が眼球周囲に近い場合、眼球破裂や眼内出血のリスクがあるため、迅速な評価が求められます。穿孔性眼球外傷では圧迫は禁忌です。その際には圧迫しないために紙コップの底で眼窩全体を保護するなどして眼科病院へ救急搬送します。

感染予防

眼瞼の傷は感染リスクが高いため、処置後に抗生物質軟膏を塗布し、必要に応じて経口抗生物質を処方します。特に汚染がある場合や異物の混入が考えられる場合には、感染予防を徹底することが重要です。

メルマガ登録
 

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。