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[No.3537] 「AI検索」の時代へ──キーワードではなく問いかけで情報を得る世界に

「AI検索」の時代へ──キーワードではなく問いかけで情報を得る世界に

かつてインターネット検索といえば「キーワードを打ち込むこと」でした。しかし、今やその風景が大きく変わろうとしています。AIが対話形式で私たちの疑問に答える時代が、静かに、しかし着実に始まっているのです。

米アップルが、ウェブブラウザー「サファリ」においてAI型の検索エンジン導入を真剣に検討しているというニュースが、2025年5月に報じられました(出典:Bloomberg, Gurman et al.)。アップル社のサービス部門責任者エディー・キュー氏は、サファリでの検索数が初めて減少した背景に「人々がAIを使い始めたためである」と明言しています。

この発言が象徴するのは、「検索」の在り方が根本から変わりつつあるという事実です。私たちは従来、「白内障とは?」「視力回復 手術 方法」など、複数のキーワードを組み合わせて検索を行ってきました。しかし現在では、たとえば「70代の母が最近まぶしがります。白内障の可能性はありますか?」といった自然な文章を入力すると、AIが専門家のように状況を踏まえた形で答えてくれるのです。

私自身も、日々の診療においてこの変化を感じています。患者さんの多くが、単なるネット検索では得られなかった「問いに対する答え」を、AIとのやりとりを通じて得て来院されるようになっています。「症状をどう説明すればよいかわからなかったけれど、AIに聞いたら予備知識が得られた」という声もよく聞かれます。

今後、アップルがオープンAIやパープレキシティAI、アンスロピックのようなAI検索サービスをSafariに統合する可能性が高まっています。キュー氏は「もはやGoogle一強ではなくなり、新たな技術が競争と選択肢をもたらす」とも語っており、これが現実になれば、検索という行為そのものが根本的に「会話」に置き換わっていくでしょう。

結論:

医療の世界においても、この変化は非常に意義深いものです。患者さんがより自然な言葉で情報にアクセスできるようになることで、医師とのコミュニケーションも円滑になり、結果として診療の質が向上する可能性があります。

眼科医として、そして情報発信者として、私はこの「検索のパラダイムシフト」を前向きに捉え、AIを通じてよりよい医療情報提供の形を模索していきたいと考えています。

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