不思議の国のアリス症候群に公式に推奨される内服薬はありません。しかし、片頭痛に関連した不思議の国のアリス症候群(AIWS: Alice in Wonderland Syndrome)の小児(特に小学校6年生、11〜12歳)への手初めに使うべき薬剤について考えるならば、以下のポイントを踏まえ、使いうる薬剤なら存在します。
前提条件:アリス症候群と片頭痛
- AIWSは小児に多くみられ、片頭痛の前兆または随伴症状として発現することがあります。
- 頭痛が中心症状であり、感覚の歪み(物が大きく・小さく見えるなど)がある場合でも、基本的には片頭痛治療の枠組みで対応します。
- 抗てんかん薬や抗不安薬の適応は通常不要で、まずは片頭痛急性期治療と予防的アプローチを検討します。
【1】急性期治療(頭痛やAIWS発作が出たとき)
💊アセトアミノフェン(商品例:カロナール)
- 用量:10〜15 mg/kg(例:体重30kgなら300〜450mg)
- 投与タイミング:できれば症状が出始めてすぐ(前兆時)に内服
- 備考:安全性が高く、小児でも第一選択肢とされます。
💊イブプロフェン(商品例:ブルフェンなど)
- 用量:5〜10 mg/kg(例:体重30kgなら150〜300mg)
- 適応年齢:6歳以上で使用可。より強い効果を求める時に使われます。
- 注意点:空腹時は避ける。胃腸障害に注意。
【2】片頭痛予防薬(発作頻度が多い場合、週1回以上など)
予防的治療は、頻回の頭痛発作がある場合や、学校生活に支障を来している場合に専門医(小児神経科・小児科・頭痛外来)と相談の上で開始します。
💊バルプロ酸ナトリウム(商品名:デパケン)
- 用量:10〜15mg/kg/dayを1日2回分割投与から開始
- 備考:有効性は高いが、肝障害・体重増加・眠気などに注意が必要
💊ロメリジン塩酸塩(商品名:ミグシス)
- 用量:1日5mg〜10mg(小児量として開始)
- 備考:カルシウム拮抗薬系で小児でも使用経験あり。比較的副作用が少ない。
💊アミトリプチリン(少量)
- 用量:1日10〜25mgから開始
- 備考:抑うつ傾向や不眠を伴う場合に適応。眠気などに注意。
🚫使用に注意が必要な薬(AIWSでは第一選択にしない)
薬剤名 |
理由 |
トリプタン製剤(イミグランなど) |
小児への使用は慎重。日本では12歳未満は保険適応外 |
抗不安薬(ジアゼパム等) |
感覚異常に対する焦燥感を和らげる可能性はあるが、習慣性・副作用あり |
抗精神病薬 |
AIWSが一過性であるため、まずは使用せずに経過観察するのが原則 |
✏️まとめ:お手初めに使う薬剤と用量(例)
分類 |
薬剤 |
体重30kg例での用量 |
備考 |
急性期 |
アセトアミノフェン |
300〜450mg(1回) |
前兆時に服用 |
急性期 |
イブプロフェン |
150〜300mg(1回) |
空腹時避ける |
予防薬 |
ミグシス |
5〜10mg/日 |
副作用少、導入しやすい |
予防薬 |
デパケン |
300〜450mg/日(2回分) |
小児専門医と連携を |
清澤の総括的なコメント:この様な流れになるようですが、眼科医が処方をするよりもMRI画像診断で脳腫瘍などが除外できたうえで小児神経学の専門医に治療を依頼するのが穏当かもしれません。
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