原宿と千駄ヶ谷の間に位置する「宮廷ホーム」
原宿と千駄ヶ谷の間に使われることのない皇室用の駅があります。今も夜になるとホーム上の黄色い電灯が点灯されています。この駅はいつ何の目的で作られたか、この駅の名称、最後に利用されたのはいつだったか、その他のトリビアを説明してください。
原宿と千駄ヶ谷の間に位置する「宮廷ホーム」は、日本で唯一の皇室専用駅です。正式名称は「原宿駅側部乗降場」とされ、全国で唯一、皇室専用に設計された特別な駅として知られています。1925年(大正14年)10月に完成し、翌1926年8月に大正天皇・皇后陛下が葉山御用邸で静養するため初めて利用されました。
このホームが造られた背景には、大正天皇の体調が芳しくなかったことがありました。当時、東京駅は高架上に位置しており、階段の昇降が難しい状態でした。そのため、皇室専用の駅として便利で静かな場所が選ばれ、原宿駅近くが適地とされました。
ホームのデザインは目立たないように質素で簡素な造りであり、周囲から中が見えないように壁や塀で囲まれました。内部には貴賓室や皇族待合所などの設備も設けられ、静養や移動に配慮されました。
使用頻度は多くないものの、昭和から平成にかけて皇族の公務や移動の際に利用され、最後に使用されたのは2001年(平成13年)5月21日とされています。その後、交通手段の発展によってこのホームの役割はほとんど失われ、現在は「幻のホーム」とも呼ばれるほどに使用されていません。
また、2016年には原宿駅の開業110周年記念として、この宮廷ホームが特別に一般公開され、多くの鉄道ファンを魅了しました。このホームのレトロな雰囲気や貴賓室の存在は、歴史の中で皇室と鉄道が密接に関係していたことを物語っています。
宮廷ホームの存在は、皇族の移動が日本の鉄道システムにどのように組み込まれてきたかを感じさせる、興味深い歴史的遺産です。
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