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[No.3755] 夏の日差しとともに咲く「オニユリ」

夏の日差しとともに咲く「オニユリ」:松本の庭から目の健康を考える

信州・松本の実家の庭で、夏の強い日差しを受けながら咲き誇る赤橙色の花を見ました。反り返るように開いた花びら、黒い斑点、そして堂々と垂れた長い雄しべ――これは「オニユリ(鬼百合)」と呼ばれるユリの仲間です。古い家屋の縁側近くで、まるで風格ある番人のように咲いていました。

鬼百合とはどんな花?

オニユリはユリ科ユリ属の多年草で、東アジアを原産とし、日本では各地に広く自生してきました。茎に「むかご(珠芽)」をつけ、それが地面に落ちて増えるのも特徴です。草丈は1~1.5メートルほどになり、7月から8月にかけて、橙色の花を数輪つけます。その斑点模様が“虎のよう”だとして「Tiger Lily」という英名も持ちます。

江戸時代には園芸用としても人気で、多くの日本人の記憶の中に「夏の風物詩」として刻まれていることでしょう。

花から話題を「目の健康」へ:ユリと毒性の話

この美しいオニユリですが、実は“動物にとっては有毒”という一面もあります。特にネコにとっては非常に危険で、葉や花、花粉を舐めるだけでも腎不全を引き起こす恐れがあります。これが一つのトリビアとして知られていますが、ここで視点を「人の目の健康」に移しましょう。

ユリ属のアルカロイドと瞳孔への影響?

ユリ科の一部の植物は、アルカロイドなどの生理活性物質を含んでおり、極めてまれながら、接触性皮膚炎や粘膜刺激を起こすことがあると報告されています。目に関しては、花粉が目に入ることで、アレルギー性結膜炎様の症状(目のかゆみ、発赤、涙)を引き起こすケースがあります。

とくに花粉の多い季節にこのユリが庭や通路に咲いていると、知らずにこすってしまった子どもが目のかゆみを訴えることも。これを予防するには、花に顔を近づけすぎない、洗眼を心がける、花粉症用の眼鏡などで防御するなどの工夫が有効です。

自然とともに生きる目の健康:庭の花がくれる季節のメッセージ

オニユリの鮮やかな橙色は、まぶしい夏の日差しとともに、季節の移ろいを知らせてくれます。自然を見つめる眼、そこから色彩を感じる視覚というのは、私たちの「生きる感覚」に直結しています。

眼科医として日々診療にあたっていると、「視覚の大切さ」を患者さんから再認識させられることが少なくありません。夏は特に紫外線が強く、白内障や加齢黄斑変性といった疾患のリスクが高まる季節です。花を愛でる喜びを長く保つためにも、日差しの強い日は帽子やサングラスで目を守ることをおすすめします。

まとめ:オニユリの咲く庭から学ぶこと

連休で訪れた実家の庭に咲くオニユリ。そこには、季節の豊かさ、美しさ、そして自然と共生する知恵が詰まっています。目の健康を守ることは、こうした自然の風景をいつまでも楽しむための大切な要素です。

花を見て癒される心と、しっかりと物を見るための健康な目――この両方を大切にしたい夏の一日でした。


※補足:ユリの花粉が目に入った場合は、こすらずすぐに洗い流してください。症状が続く場合は眼科を受診しましょう。

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