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[No.3778] 紫の小さな花が道を彩る「コムラサキ」──秋には目を惹く美しい実も

紫の小さな花が道を彩る「コムラサキ」──秋には目を惹く美しい実も

今朝の通勤途中、高円寺の路地に咲く、可憐な紫の小花が目に止まりました。細い枝に沿って対になって並ぶ緑の葉の間に、小さな紫の花が点々と連なるその姿は、何とも涼しげで品があります。この植物は「コムラサキ(小紫)」という名の落葉低木で、花は夏の間に咲き、秋には鮮やかな紫色の実をつけて街角を彩ります。

コムラサキとは?

コムラサキ(Callicarpa dichotoma)はクマツヅラ科ムラサキシキブ属に属する植物で、和名の通り、秋に実る小さな紫色の果実が特徴です。ムラサキシキブ(Callicarpa japonica)の近縁種ですが、よりコンパクトで園芸用にも好まれ、公園や庭先、街路樹としてもよく利用されています。

夏から初秋にかけて、葉の付け根に淡いピンクから薄紫色の花をつけ、秋になると房状に連なる美しい紫色の果実が実ります。その姿はまるで宝石のように見え、日本では古くから「美の象徴」として和歌や絵画にも登場してきました。

目に優しい自然の色

人間の目にとって「紫」という色は、青と赤の中間であり、網膜上の視細胞(特に錐体細胞)が両方の波長を受け取って認識するため、やや見えにくい色とされています。特に黄斑変性や視神経疾患を持つ方では、紫色の識別が苦手になる場合もあります。

一方で、紫色は精神的な鎮静作用がある色としても知られており、視覚的にも心を落ち着かせる効果があるとされます。コムラサキのような淡い紫の花を眺めることで、ストレス軽減やリラックス効果を得られるかもしれません。近年では「色彩療法(カラーセラピー)」の一環としても注目されています。

目との関わりのトリビア

ムラサキシキブ属に属する植物の果実には、微量ながらポリフェノールやアントシアニン系の色素が含まれており、これらはブルーベリーなどと同様に「眼精疲労の予防や改善に役立つのでは?」と注目された時期もありました。ただし、コムラサキの果実は食用としては一般的ではなく、観賞用とされています。

また、昔の人々は、紫の実を染料として用い、視覚的な高貴さを表現するための「装い」に活用しました。紫色は古来、身分の高い人々が身にまとう色であり、眼に映るその色彩は、現代でもどこか特別な感情を呼び起こします。

まとめ

コムラサキは、都市のなかでひっそりと美しく咲く植物のひとつです。その花や果実が私たちの目に与える癒しの効果は計り知れず、眼科医としてもこうした自然の彩りを生活の中に取り入れることをおすすめしたいと感じます。普段の散歩の中で、目に入る風景を少し立ち止まって眺めてみてはいかがでしょうか。小さな発見が、心と目の健康につながるかもしれません。

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