保険証の使い方が変わっています ― 当院からのお知らせ
本日の脱税理士菅原君の話題では、現在使われている健康保険証が「使えなくなっている人」と「まだ使える人」が混在しているという、非常にややこしい現状が紹介されていました。当院の窓口では、幸いにも「保険証が使えないために医療費を全額(100%)自己負担してもらった」というケースは今のところありません。しかし、全国的には混乱が起きているようですので、その事情を整理してわかりやすくご説明します。
1. なぜ保険証が使えなくなっているのか?
日本では「従来の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードを健康保険証として使う」方向に移行しています。そのため、2023年末以降、新しい保険証の発行は原則として行われていません。
ただし、これは一気に切り替わるのではなく、加入している制度(会社の健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度)によって扱いが異なります。そのため、同じ時期でも「使える人」と「使えない人」が出てしまっているのです。
2. 加入している制度ごとの違い
① 会社の健康保険(社会保険)
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2023年12月2日以降、新規の保険証は発行されていません。
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それ以前から持っている保険証は 2024年12月1日まで使用可能。
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ただし、引っ越しや転職などで新しい保険証が必要になった場合は発行されず、代わりに「資格確認書」という黄色っぽいカードが届きます。これが保険証の代わりになります。
② 国民健康保険(自営業・フリーランス・無職など)
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多くの自治体で、2024年7月31日で従来の保険証は失効。
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代わりに「資格確認書」が送られてきます。ただし自治体によって発送が遅れる場合があり、8月や9月になることも。
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資格確認書がまだ届いていない場合でも、国から医療機関に「来年3月末までは従来の保険証で柔軟に対応してあげてください」と指示が出ています。
③ 後期高齢者医療制度(75歳以上)
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同じく 2024年7月31日で保険証の有効期限が終了。
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すべての対象者に資格確認書が送付されるため、8月以降はこれを使用します。
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マイナンバーカードをすでに保険証として登録している人にも資格確認書が届くケースがあり、混乱を避けるための措置と考えられています。
3. マイナンバーカードと「資格確認書」
マイナンバーカードを健康保険証として登録すれば、従来の保険証がなくても医療機関を受診できます。ただし機械で読み取りエラーが出ることもあるため、その場合に備えて「資格確認情報通知書」という書類が届くこともあります。
一方、マイナンバーカードを持っていない方には資格確認書が送られ、それを提示すれば保険診療を受けられます。資格確認書は 有効期限が5年 と決められており、その間にマイナンバーカードを取得するよう促す仕組みです。
4. 現場の混乱と注意点
現実には「まだ使える保険証なのに病院で使えないと言われた」「資格確認書が届いていない」などの声が出ています。制度の周知不足や自治体ごとの対応の差が原因です。
厚労省からは「来年3月末までは従来の保険証でも対応してほしい」と医療機関に依頼が出ていますが、これは“お願いベース”で明確なルールではありません。そのため、病院ごとに対応が揺れる可能性があります。
まとめ
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会社の健康保険の人:12月1日まで保険証が使える。その後は資格確認書へ。
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国民健康保険の人:7月末で失効。資格確認書が届くまで従来の保険証で対応。
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75歳以上の人:7月末で失効。資格確認書が必ず届く。
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マイナンバーカード登録者:基本的にそのまま使用可能。ただし補助書類が必要になる場合も。
当院の窓口では現時点で「保険証が使えないために全額自己負担」という事態は起きていませんが、全国的には移行期の混乱が見られます。受診の際には、念のため「資格確認書」や「マイナンバーカード」、届いた通知書などを一緒に持参されることをおすすめします。
―― 清澤眼科医院 院長
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