結膜炎・花粉症・ものもらい (結膜疾患)

[No.3920] 瞼裂斑(けんれつはん・ピンゲクラ)とは?

瞼裂斑(けんれつはん)とは?

瞼裂斑とは、白目(結膜)の表面にできる黄白色の小さなふくらみのことを指します。特に黒目(角膜)の横、鼻側に生じやすく、加齢や紫外線の影響を受けて多くの方に見られる変化です。医学的には「結膜変性」の一つで、良性の変化であるため、多くの場合は強い治療を必要としません。しかし、ときに目の違和感や外見上の問題を感じることもあり、眼科での診断・説明を受けておくと安心です。


症状

瞼裂斑は小さな膨らみとして気づかれることが多く、通常は痛みや視力低下を伴いません。ただし、以下のような症状が出る場合があります。

  • 異物感やゴロゴロ感:結膜の盛り上がりがまぶたと擦れて違和感を生じることがあります。

  • 充血や炎症:ときに赤くなり「瞼裂斑炎」と呼ばれる状態になることがあります。

  • 見た目の問題:白目に黄色や茶色のふくらみがあることで、美容的に気になる方もいます。


診断

診断は、眼科で細隙灯顕微鏡(スリットランプ)を用いた観察により容易に行われます。瞼裂斑は角膜には侵入せず、結膜の表層に限局した病変であることが特徴です。角膜にまで及ぶ「翼状片」と区別することが重要で、これは診断の際によく確認されます。また、充血や炎症が強い場合には、ドライアイやアレルギー性結膜炎と合併していないかも合わせて調べます。


成因

瞼裂斑の原因は主に以下のように考えられています。

  • 紫外線曝露:屋外での活動が多い人に発生しやすく、紫外線が組織変性を引き起こすとされています。

  • 乾燥や刺激:風、ほこり、コンタクトレンズの装用などによる慢性的な刺激が関与します。

  • 加齢:年齢とともに結膜の弾力線維が変性し、沈着物質が増えることで発症しやすくなります。


治療

多くの瞼裂斑は治療を必要としません。症状に応じて以下のような対応が行われます。

  • 点眼治療:充血や炎症がある場合には、人工涙液やステロイド・抗炎症薬の点眼が用いられます。

  • 紫外線対策:サングラスや帽子で紫外線を防ぐことが予防・進行抑制につながります。

  • 手術:強い炎症を繰り返す場合や、美容的に気になる場合には外科的に切除することもあります。ただし再発の可能性があり、必ずしも根治的ではありません。


まとめ

瞼裂斑は、白目の結膜に見られる加齢や紫外線による変化で、多くは無害です。異物感や充血が強いときは点眼での治療が有効であり、見た目が気になる場合は切除手術も選択肢になります。患者さんにとっては「白目のシミやできもの」として不安になることもありますが、基本的には良性で心配のいらない病変です。気になる方は一度眼科で診察を受け、安心していただくのがよいでしょう。

追記:

新しい学説・知見

近年の研究により、pinguecula(および隣接するpterygium)は慢性炎症に伴うゲノム不安定性を示し、良性ながらも腫瘍形成の初期段階に類似した分子的変化が認められる可能性が浮上しています。RNA-seq によるトランスクリプトーム解析では、腫瘍抑制遺伝子(C10orf90、RARRES1、DMBT1、SCGB3A1)が pinguecula および pterygium で 発現低下しており(特に C10orf90, RARRES1 は pinguecula にも低下)nature.com+15researchgate.net+15journals.lww.com+15。さらに、ゲノム不安定性や慢性炎症に関連したパスウェイが両者に共通して活性化されているとの解析結果が報告されていますresearchgate.net。すなわち、pinguecula は単なる退行性病変ではなく、炎症–ゲノムストレス–組織増殖の連鎖による新たな病理機序の可能性が示唆されています。


👉 院長としてのコメント

瞼裂斑は日常診療でよく見られる変化ですが、紫外線や環境因子との関係が強いため、生活習慣のアドバイスがとても大切です。患者さんには「目の老化現象の一つ」と説明しつつ、安心していただけるよう心がけています。

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