霰粒腫・麦粒腫(ものもらい)の治療法について
まぶたに小さな腫れや赤みが出る「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」や「麦粒腫(ばくりゅうしゅ、ものもらい)」。見た目や不快感から心配になる方が多い病気ですが、正しいケアをすれば多くは自然に改善します。今回は治療法を分かりやすくまとめました。
① 温罨法(おんあんぽう):最初に取り組むセルフケア
まず基本になるのは 温罨法 です。
清潔なタオルをお湯で温めて絞り、まぶたに数分当てます。血流が良くなり、油の出口(マイボーム腺)の詰まりがやわらかくなって、自然に中身が出やすくなります。市販のホットアイマスクも便利です。
温めたあとは、まぶたの周囲を清潔な水でやさしく洗うことも大切です。汚れや皮脂を落とすことで、再感染を防げます。
② 点眼薬による治療
症状が続く場合、眼科では 抗菌薬の点眼 を使います。細菌の増殖を防ぎ、炎症の悪化を抑えます。
赤みや腫れが強いときには、弱いステロイド入り点眼薬を短期間使うこともあります。これにより炎症や痛みがやわらぎます。ただし、ステロイドは副作用の心配もあるため、医師の指示に従って使うことが重要です。
③ 内服薬が必要な場合
腫れや痛みが強い場合や広がりがあるときには、抗菌薬の内服が処方されることもあります。特に「麦粒腫」は細菌感染が原因のことが多いため、飲み薬で全身的に炎症を抑えるのが有効です。
④ 切開による治療(外科的処置)
温めても点眼をしても良くならず、しこりが長く残ってしまう場合は、眼科で小さな切開をして中身を出す処置を行います。局所麻酔で短時間にできる処置で、膿の袋(被膜)をしっかり取り除くことにより再発予防も期待できます。
⑤ そのほかの治療や再発予防
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まぶた清拭:アイシャンプーや清拭シートを使ってまぶたを清潔に保ち、再発を防ぐ。
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ステロイド注射:切開を避けたい場合に行うこともありますが、副作用に注意が必要です。
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生活習慣の改善:睡眠不足や疲労、コンタクトレンズの長時間使用はリスクを高めます。清潔な生活を意識することも大切です。
⑥ 霰粒腫と麦粒腫の違い
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麦粒腫(ものもらい):細菌感染が原因で、痛みや赤みが強いのが特徴。
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霰粒腫:マイボーム腺の詰まりによる慢性的なしこり。痛みは少ないが硬い塊が残ることがある。
治療法は似ていますが、麦粒腫は「感染重視」、霰粒腫は「腺の詰まり重視」と考えると分かりやすいでしょう。
まとめ
霰粒腫や麦粒腫は、不快ではありますが命に関わる病気ではありません。基本は
温める → 清潔にする → 点眼・内服で補助 → 必要なら切開
という流れで改善します。
しこりがなかなか治らない、何度も繰り返す、急に強く腫れたなどのときは、自己判断せずに眼科を受診してください。安全で確実な治療につながります。
👨⚕️ 眼科医 清澤のコメント
霰粒腫や麦粒腫は、放っておいてもいずれは治ることがありますが、早めに眼科で治療を受けることで、腫れやしこりを残さずに早く回復させることができます。また、治療中はコンタクトレンズの使用を控えることをおすすめします。レンズを使うことで刺激や感染が悪化する恐れがあるため、炎症が完全に治まるまでは眼鏡で過ごすのが安心です。
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