潰瘍性大腸炎と目の症状
潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis, UC)は、大腸に慢性的な炎症が起こる病気です。主に消化器の病気として知られていますが、実は腸以外にもさまざまな臓器に影響を及ぼすことがあり、その一つが「眼(目)」です。患者さんの約2~10%に眼の合併症がみられるといわれています。放置すると視力に影響することもあるため、早めに気づいて対応することが大切です。
どんな眼症状が起こるの?
潰瘍性大腸炎に関連して起こる代表的な眼症状には、次のようなものがあります。
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虹彩炎・虹彩毛様体炎(いわゆる前部ぶどう膜炎)
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最もよくみられる症状です。
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目の充血、痛み、まぶしさ、かすみが出ます。
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両眼に出ることもありますが、多くは片眼に突然起こります。
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強膜炎・上強膜炎
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目の白目部分(強膜)に炎症が起こる病気です。
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強い充血と痛みを伴い、進行すると視力に影響することがあります。
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網膜や視神経の障害(まれ)
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血管炎や循環障害によって、視野が欠けたり視力が急に落ちたりすることがあります。
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頻度は少ないですが、重い後遺症を残すことがあります。
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どうして目に炎症が起こるの?
潰瘍性大腸炎は「自己免疫の異常」が関わっていると考えられています。つまり、自分の免疫が腸だけでなく眼の組織も攻撃してしまうのです。また、腸の炎症が強いときに目の炎症も悪化する傾向があります。そのため「腸の状態が落ち着いているかどうか」が眼症状の経過にも影響します。
どんな対策や治療があるの?
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早期受診が第一
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「目が赤い」「まぶしい」「視力が落ちた」と感じたら、自己判断せず眼科を受診しましょう。
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点眼薬での治療
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炎症を抑えるためにステロイド点眼や散瞳薬(瞳を広げる薬)が用いられます。
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軽い場合はこれで症状が改善します。
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全身治療の調整
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腸の炎症と目の炎症は関連することが多いため、消化器内科で潰瘍性大腸炎の治療(5-ASA製剤、ステロイド、免疫抑制剤、生物学的製剤など)をきちんと行うことが重要です。
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重症例では全身投与
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強いぶどう膜炎や強膜炎では、ステロイドの内服や点滴、免疫抑制剤の併用が必要になることがあります。
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まとめ
潰瘍性大腸炎は大腸の病気ですが、眼にも「虹彩炎」「強膜炎」などの炎症を起こすことがあります。症状を放置すると視力低下につながることもあるため、少しでも異常を感じたら早めに眼科を受診することが大切です。また、消化器内科と眼科が連携して治療を行うことで、より良い経過をたどることができます。
👁️ ポイント
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潰瘍性大腸炎の患者さんの2~10%に眼症状が出る。
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主な症状は「虹彩炎・ぶどう膜炎」「強膜炎」。
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早期発見と点眼治療で改善可能。
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全身の病状コントロールも重要。
✅ 清澤眼科からのコメント
潰瘍性大腸炎の患者さんで「充血」「まぶしさ」「視力の低下」を感じた場合は、眼の炎症が関係している可能性があります。早めに眼科を受診していただければ、多くの場合は大きな後遺症を残さずに治療ができます。
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