社会・経済

[No.4006] “いまAIで起きていること”テレ東経済ニュースアカデミー

この連休では、ネット動画を掛け流して、多くの話題を聞きました、その最後はテレ東の豊島晋作さんとシリコンバレーで日経BPシリコンバレー局の島津翔さんが語る今シリコンバレーで起きていることです。それぞれの会社にそれぞれの思惑もあり聞いていて驚かされることの多い対談です。今後はデータセンターによる情報処理よりも、日常的にはスマホの端末自体で答えを出すという時代になりそうなことも言っていました。

Apple・Google・Microsoft・NVIDIA——生成AI“次の主戦場”はどこか(やさしい要約)

テレビ東京「テレ東経済ニュースアカデミー」より、豊島晋作さんがシリコンバレーで日経BPシリコンバレー局の島津さんに聞いた“いまAIで起きていること”の要点です。IT各社がどこを目指しているかという視点を私は今まで持ってはいませんでした。

1) Appleは本当に出遅れ?

技術の新機能投入ではGoogle/Microsoftより遅く見えるが、Appleは“プレミア価格帯のiPhone”という強固な顧客基盤とOS(iOS・macOS)を持つのが最大の強み。AIをOSレベルに溶け込ませ、必要なタイミングで確実に搭載できる“横綱相撲”が戦略。4月からの「Apple Intelligence」も、決定的キラーアプリというより買い替え促進の要素が大きい。実際、スマホの生成AI機能はまだ“必須アプリ”にはなっておらず、コンシューマーの本格競争はこれから。

2) エージェントAIの居場所が勝敗を分ける

MicrosoftはOffice等“アプリ”に、Googleは“ブラウザ”に、Appleは“OS”に——各社の実装地点が異なる。特にAppleはOSと自社デバイス・独自半導体を束ねられるため、長期的ポテンシャルが高い。一方Googleは検索広告モデルの再設計(AI時代の広告の出し方)が急務で“最も難しい局面”にある。

3) クラウド学習→端末推論へ。ただし計算需要は減らない

これまでNVIDIAはAI“学習”で圧倒的。今後は“推論(使う段階)”が端末側でも増える(オンデバイス)。とはいえ高度な推論(例:長時間の自動調査・要約=Deep Research型)は計算量が大きく、データセンター需要も継続。NVIDIAの重要性は形を変えて残る見通し。

4) NVIDIAの“超フラット”経営

ジェンスン・ファンCEOの下に約60人の幹部が並ぶフラット組織。1対1会議より“情報の透明化”を重視し、幹部・社員は関心上位5件を簡潔に共有。KPI(過去の数値)ではなく“将来の成功の兆し”を指標化する文化。報酬水準は米テックでも最高クラス。

5) 最終章は“フィジカルAI(ロボット)”

現実世界の物理法則を学ばせるため、NVIDIAは高精度シミュレーション(産業用メタバース)を推進。日本はロボティクス(ファナック、安川電機など)の資産が大きく、再浮上の好機。


眼科クリニック視点のひとこと

医療現場でも、会議要約・書類作成・患者説明文の下書きなど“実務を助けるAIエージェント”の価値がまず高まりそうです。加えてオンデバイスAIは個人情報の院外送信を減らせる利点があり、医療に相性◎。一方で“キラーアプリはまだ”なので、過度な投資より安全・説明責任・院内ワークフロー適合を優先し、段階的に活用範囲を広げるのが現実的だと感じました。臨床診療中の医療秘書との分業も考えられそうです。

メルマガ登録
 

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。