Q1.コンタクトレンズをやめてICLにしたのに、術後にドライアイが強くなった気がします。そんな症例はありますか?
A.はい、あります。頻度は高くありませんが、ICL(有水晶体眼内レンズ)手術のあとに“ドライアイ様症状”が一時的に強まる方は一定数います。
ICLは角膜を削らないため、一般にレーザー屈折矯正(LASIK等)より角膜神経への影響が少なく、ドライアイは軽い・短いことが多いと考えられています。一方で、術後早期に乾き・しみる・異物感・疲れやすさなどが増えることは報告されており、涙液の安定性(BUTなど)や自覚症状スコア(OSDI等)が術後に一時的に悪化し、数か月で概ね術前レベルへ戻るという趣旨の報告も見られます。
背景としては、次の要素が重なりやすい、という説明が現実的です。
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手術切開・術後炎症・術後点眼による眼表面ストレス
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見え方が改善して瞬きが減る/画面作業が増えるなど生活変化
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もともと軽度にあったドライアイやMGD(マイボーム腺機能不全)が、術後に表面化
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以前のコンタクト装用に関連した眼表面の疲弊が残っている場合(乾きやすい素地)
つまり、「ICLが直接ドライアイを作る」というより、術後の一時的な揺らぎ+もともとの素因で症状が目立つケースがある、という理解が患者さんにとっても納得しやすいと思います。
Q2.涙液メニスカスが低い(涙が少ない)タイプなら、コラーゲン涙点プラグは有効ですか?
A.条件が合えば有効です。特に「涙の量が不足するタイプ(水分不足型)」では合理的な選択肢になります。
涙点プラグは“涙を増やす治療”ではなく、涙の排出を減らして、目の表面に涙を留める治療です。したがって、診察で涙液メニスカスが低い、シルマーが低めなど涙液量不足が疑われるケースでは、乾き・しみる感じ・異物感の改善が期待できます。
コラーゲンプラグ(溶けるプラグ)の意味
コラーゲンプラグは一定期間で吸収されるため、
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「涙点閉鎖が自分に効くか」を試す
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術後の一過性の悪化に対して短期的に支える
という目的に向きます。実際に“短期プラグをプレテストとして使う”という位置づけの報告もあります。
Q3.涙点プラグは、入れれば誰でも良くなる治療ですか?
A.万能ではありません。ドライアイのタイプを見極めないと、効果が不十分だったり、かえって不快が増えることがあります。
ドライアイには大きく分けて、
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水分不足型(涙が少ない)
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蒸発亢進型(MGDなどで涙がすぐ蒸発する)
があります。
涙点プラグが最も理屈に合うのは前者です。後者(MGD主体)では、涙を溜めても“油のフタ”が弱いままだと蒸発が止まらず、温罨法・眼瞼清拭・MGD治療などの併用が重要になります。
またエビデンスの見方として、涙点プラグは有用とする報告がある一方、研究デザインの違い等から「症状改善が決定的とまでは言えない」と整理したレビューもあります。
このため臨床的には、コラーゲンプラグで“効き目の当たり”を確認してから、必要なら長期プラグへという段階的運用が実務に合います。
まとめ(院長ブログ向け結論)
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ICL術後にドライアイ様症状が一時的に強まる症例はあります。多くは数週間〜数か月の範囲で落ち着く方向ですが、もともとの素因(CL既往、MGDなど)があると目立ちやすいことがあります。
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涙液メニスカスが低い“水分不足型”なら、涙点プラグは理にかなった選択肢です。
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コラーゲンプラグは可逆的で「まず試す」に適し、効果がはっきりすれば次の治療(長期プラグ等)を検討しやすくなります。
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ただしMGD主体なら、まぶた治療の併用が改善の鍵です。



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