社会・経済

[No.4404] 【特集】銅がAIのボトルネックに ― 2027年供給危機予測の全貌【聞く経済ニュース】

【特集】銅がAIのボトルネックに

― 2027年供給危機予測の全貌【聞く経済ニュース】

出典動画 YouTube「聞く経済ニュース」

https://www.youtube.com/watch?v=XGGPGjFCT0w


AIの進化が「銅不足」を引き起こす?

― 電気とAIを支える見えない資源の話 ―

最近のAIの進歩は目覚ましく、私たちの生活や医療、産業のあり方を大きく変えつつあります。この動画では、AIの急成長の裏側で「銅」という金属が重要な役割を担い、将来的には供給不足が起きる可能性があることが解説されています。

まず示されるのが、「AIのスーパーサイクル」と「銅のスーパーサイクルは同じ流れにある」という考え方です。AIは計算能力だけでなく大量の電力を必要とし、その電力を発電所からデータセンターへ運ぶためには、電気をよく通す銅が不可欠です。つまり、AIが成長すればするほど、銅の需要も同時に増えていく構造になっています。

S&P Globalのレポートによると、世界の銅需要は2025年の約2,800万トンから2040年には約4,200万トンへ、50%も増えると予測されています。一方で供給は簡単に増やせません。国際銅研究会(ICSG)やJPモルガンは、早ければ2026年ごろから銅が不足し始める可能性を指摘しています。ゴールドマン・サックスはやや慎重で、本格的な不足は2029年以降と見ていますが、将来の逼迫を否定しているわけではありません。

供給面の問題は、単なる一時的な事故だけではありません。2025年にはインドネシアの巨大鉱山グラスベルグで事故が起こり、生産が大きく落ち込みましたが、それ以上に深刻なのは構造的な問題です。銅鉱石の質は長年低下しており、同じ量の銅を得るために、より多くの岩石を掘る必要があります。また、新しい鉱山が見つかりにくく、見つかっても開発から生産まで20年以上かかることも珍しくありません。需要が増えても、すぐに供給を増やせないのが現実です。

需要を押し上げている主役がAIデータセンターです。動画で強調されるのは、「データセンター本体」よりも「電気を届ける送配電インフラ」の方が、はるかに多くの銅を使うという点です。さらに、NVIDIAの次世代GPU「Blackwell」では、ラック1台あたりの消費電力が従来の何倍にもなり、既存のデータセンターでは対応できないケースが増えます。その結果、電力網そのものを作り直す必要が生じ、銅の使用量が一段と増えるのです。

また、AIの使われ方も変わりつつあります。学習(トレーニング)中心から、実際に使われる「推論(Inference)」が主役になると、応答速度を保つために都市部などへ分散配置が必要になります。分散すればするほど、各地域で電力インフラを整備する必要があり、銅需要はさらに膨らみます。

動画では、①2026〜2027年に不足が表面化するシナリオと、②需要調整などで2029年以降に先送りされるシナリオの2つが示されます。時期は不確実でも、「供給が増えにくい中で、AIと電力という強力な需要要因が重なっている」という点は共通しています。AIは電気で動き、電気は銅で運ばれる。この単純な事実が、これからの経済や技術の制約条件になりつつある、というのが動画の結論です。


眼科院長のひとこと

AI医療や画像診断の進歩は眼科にとっても大きな追い風ですが、その土台には電力とインフラがあります。見えにくい「銅」という資源が、未来医療のスピードを左右するかもしれない点は、医療者としても意識しておきたいと思います。

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