米国医師会雑誌JAMAに掲載された音声解説(成人のIgA腎症レビュー)をもとに、眼科院長ブログの読者でもあるIgA腎症の患者さん向けに、医学用語をできるだけかみ砕いてまとめた説明です。
成人のIgA腎症 ― いま何がわかってきたのか(JAMAレビューより)
IgA腎症は、腎臓の「糸球体(しきゅうたい)」という血液をろ過する部分に炎症が起こる病気で、成人の糸球体腎炎の中では最も多い疾患です。免疫に関わる「IgA」という抗体が、腎臓にたまってしまうことで発症します。
IgA腎症はどんな病気?
体の免疫システムが、本来とは少し形の違うIgA(ガラクトース欠損IgA1)を多く作ってしまい、それが腎臓の糸球体に沈着します。すると炎症が起こり、血尿やたんぱく尿が現れ、長い時間をかけて腎機能が低下していくことがあります。若い世代、特に20~30代で発症することが多く、アジア系の人に多いことも知られています。
のどの痛みのあとに血尿が出る?
IgA腎症に特徴的なのが、かぜや扁桃炎などで喉が痛くなった直後(1~2日以内)に、赤い尿やコーラ色の尿が出ることです。これを「合併咽頭性血尿」と呼び、IgA腎症を強く疑う重要な手がかりになります。
なぜ起こるのか(4ヒット仮説)
最近の研究では、IgA腎症は次の4段階を経て起こると考えられています。
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腸などで異常なIgAが多く作られる
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それに対する抗体ができる
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IgAと抗体がくっついた免疫複合体ができる
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それが腎臓に沈着して炎症を起こす
この流れが重なって、腎臓の障害が進んでいきます。
診断と検査
健康診断などで血尿やたんぱく尿が見つかることが多く、はっきり診断するには**腎生検(腎臓の組織検査)**が必要です。最近の国際ガイドラインでは、1日0.5g以上のたんぱく尿があれば、将来の腎不全リスクが高いため、早期に腎生検を行うことが勧められています。
二次性IgA腎症という考え方
IgA腎症は、単独で起こる場合だけでなく、炎症性腸疾患、肝疾患、自己免疫疾患、ウイルス感染などが背景にあって起こることもあります。これらの場合は、元の病気を治療することで腎症が改善する可能性があります。
何が一番大事な予後因子?
多くの研究で、将来の腎不全を最もよく予測するのは
「尿中のたんぱく量」と「血圧」であることがわかっています。
たんぱく尿を減らし、血圧をしっかり管理することが、腎臓を守る最大のポイントです。食事では塩分を控えること、禁煙、体重管理も重要とされています。
治療はここ数年で大きく進歩
以前は「経過観察が中心」と考えられていましたが、長期追跡研究により、多くの患者さんが10~20年で腎不全に進む可能性があることが明らかになりました。そのため現在では、早めに治療介入する病気と考えられています。
ここ5年ほどで、たんぱく尿を減らすことを目標にした新しい薬が次々と登場し、腎機能低下を大きく抑えられる可能性が示されています。適切な治療により、腎臓の老化に近いスピードまで進行を抑え、透析や移植を避けられる可能性も見えてきました。
まとめ
IgA腎症は、放置する病気ではなく、早期診断と継続的な治療で将来を変えられる病気です。血尿やたんぱく尿を指摘された方は、症状が軽くても腎臓専門医と相談し、長い目で腎臓を守る治療を続けることが大切です。
追記:IgA腎症に関連してみられることのある眼症状



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