全身病と眼

[No.4449] 成人のIgA腎症 ― いま何がわかってきたのか(JAMA総説より)

国医師会雑誌JAMAに掲載された音声解説(成人のIgA腎症レビュー)をもとに、眼科院長ブログの読者でもあるIgA腎症の患者さん向けに、医学用語をできるだけかみ砕いてまとめた説明です。


成人のIgA腎症 ― いま何がわかってきたのか(JAMAレビューより)

IgA腎症は、腎臓の「糸球体(しきゅうたい)」という血液をろ過する部分に炎症が起こる病気で、成人の糸球体腎炎の中では最も多い疾患です。免疫に関わる「IgA」という抗体が、腎臓にたまってしまうことで発症します。

IgA腎症はどんな病気?

体の免疫システムが、本来とは少し形の違うIgA(ガラクトース欠損IgA1)を多く作ってしまい、それが腎臓の糸球体に沈着します。すると炎症が起こり、血尿やたんぱく尿が現れ、長い時間をかけて腎機能が低下していくことがあります。若い世代、特に20~30代で発症することが多く、アジア系の人に多いことも知られています。

のどの痛みのあとに血尿が出る?

IgA腎症に特徴的なのが、かぜや扁桃炎などで喉が痛くなった直後(1~2日以内)に、赤い尿やコーラ色の尿が出ることです。これを「合併咽頭性血尿」と呼び、IgA腎症を強く疑う重要な手がかりになります。

なぜ起こるのか(4ヒット仮説)

最近の研究では、IgA腎症は次の4段階を経て起こると考えられています。

  1. 腸などで異常なIgAが多く作られる

  2. それに対する抗体ができる

  3. IgAと抗体がくっついた免疫複合体ができる

  4. それが腎臓に沈着して炎症を起こす

    この流れが重なって、腎臓の障害が進んでいきます。

診断と検査

健康診断などで血尿やたんぱく尿が見つかることが多く、はっきり診断するには**腎生検(腎臓の組織検査)**が必要です。最近の国際ガイドラインでは、1日0.5g以上のたんぱく尿があれば、将来の腎不全リスクが高いため、早期に腎生検を行うことが勧められています。

二次性IgA腎症という考え方

IgA腎症は、単独で起こる場合だけでなく、炎症性腸疾患、肝疾患、自己免疫疾患、ウイルス感染などが背景にあって起こることもあります。これらの場合は、元の病気を治療することで腎症が改善する可能性があります。

何が一番大事な予後因子?

多くの研究で、将来の腎不全を最もよく予測するのは

「尿中のたんぱく量」と「血圧」であることがわかっています。

たんぱく尿を減らし、血圧をしっかり管理することが、腎臓を守る最大のポイントです。食事では塩分を控えること
、禁煙、体重管理も重要とされています。

治療はここ数年で大きく進歩

以前は「経過観察が中心」と考えられていましたが、長期追跡研究により、多くの患者さんが10~20年で腎不全に進む可能性があることが明らかになりました。そのため現在では、早めに治療介入する病気と考えられています。

ここ5年ほどで、たんぱく尿を減らすことを目標にした新しい薬が次々と登場し、腎機能低下を大きく抑えられる可能性が示されています。適切な治療により、腎臓の老化に近いスピードまで進行を抑え、透析や移植を避けられる可能性も見えてきました。

まとめ

IgA腎症は、放置する病気ではなく、早期診断と継続的な治療で将来を変えられる病気です。血尿やたんぱく尿を指摘された方は、症状が軽くても腎臓専門医と相談し、長い目で腎臓を守る治療を続けることが大切です。

追記:IgA腎症に関連してみられることのある眼症状

IgA腎症は主に腎臓の病気ですが、まれに眼の症状を伴うことがあります。代表的なのはぶどう膜炎(特に前部ぶどう膜炎)で、目の充血、痛み、まぶしさ、かすみ目などを自覚することがあります。これはIgA腎症の背景にある免疫異常が、眼の中の炎症を引き起こすためと考えられています。また、IgA腎症はIgA血管炎(旧・紫斑病性腎炎)と関連することがあり、その場合には強膜炎や上強膜炎を生じ、眼の奥の痛みや圧痛を訴えることがあります。さらに、腎機能障害に伴う高血圧が進行すると、高血圧性網膜症として眼底に出血や血管の変化が現れることもあります。これらの眼症状は頻度としては高くありませんが、視力低下や強い眼痛、充血が続く場合には、腎臓の病気との関連も念頭に眼科受診を勧めることが重要です。

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