Visual Snow Initiativeが「ビジュアルスノー症候群世界地図」を公開
本日、ビジュアルスノー症候群(VSS)の国際的支援団体であるVisual Snow Initiative(VSI)から、新しい取り組みについて通知が届きました。それは「ビジュアルスノー症候群世界地図」の公開です。これは、世界中の当事者が自分の居住地域にピンを立てることができるインタラクティブな地図で、VSSが決してまれな“孤立した症状”ではないことを可視化する試みです。
ビジュアルスノー症候群とは、視野全体に細かな砂嵐やテレビのノイズのような点滅が24時間持続して見える神経系の疾患です。目を開けていても閉じていても、絶えず「ちらちら」「ざらざら」とした視覚的雪が見えるのが特徴です。さらに、残像が長く残る、光がまぶしい(羞明)、夜間に見えにくい、耳鳴りや集中困難を伴うなど、視覚だけでなく聴覚・認知面に影響が及ぶこともあります。眼科的検査で大きな異常が見つからないことが多いため、長い間「気のせい」と扱われたり、誤診されたりしてきた歴史があります。
今回の世界地図では、ひとつひとつのピンが一人の当事者を表します。ヨーロッパではすでに数百人が登録している一方、日本からの登録はまだ一桁にとどまっています。しかし、これは患者数が少ないという意味ではなく、むしろ認知不足を反映している可能性があります。日本でも「説明しづらい見え方のつらさ」を抱えている方は決して少なくありません。
参加方法は簡単です。地図上で都市名や国名を検索し、希望する場所にピンを置きます。名前や年齢を入力することもできますが、匿名での参加も可能です。住所や連絡先などの個人情報は一切必要ありません。ピンの位置も大まかな地域でよく、後からドラッグして調整することもできます。プライバシーに配慮しながら、自分の存在を「世界の中のひとつの点」として示すことができる仕組みです。
この地図の意義は三つあります。第一に、当事者が「自分は一人ではない」と実感できること。第二に、医療者や研究者に対して有病率や地域分布の手がかりを提供できること。第三に、社会的認知を高め、誤解や偏見を減らすことです。VSIによれば、2025年時点で93か国以上から寄稿があり、今後も拡大が期待されています。
私はこれまで、ビジュアルスノー症候群を「中枢性視覚異常症」のひとつとして取り上げ、脳機能画像研究の可能性にも注目してきました。世界地図という形で当事者の存在が可視化されることは、疫学研究や国際共同研究の基盤づくりにもつながります。
もしこの記事を読んで「それは自分の症状かもしれない」と思われた方がいらっしゃれば、まずは専門医にご相談ください。そして当事者であると分かっている方は、この世界地図への参加も一つの選択肢です。小さなピンの集合が、将来の理解と治療への道を広げる力になるかもしれません。



コメント