眼科医療経済等

[No.4558] 75歳を過ぎると医療費はどうなる? ― 後期高齢者医療制度と「1割・2割・3割負担」をわかりやすく解説 ―

75歳を過ぎると医療費はどうなる? ― 後期高齢者医療制度と「1割・2割・3割負担」をわかりやすく解説 ―

最近、LIMOという情報サイトに「後期高齢者医療制度で医療費が3割になる人の所得ライン」という記事が掲載されていました。眼科外来でも「75歳を過ぎると医療費はどうなるのですか?」という質問を患者さんからよく受けます。今回はこの制度について、患者さんやご家族にも分かるように説明してみたいと思います。

日本ではすべての人が何らかの公的医療保険に加入しています。会社員は健康保険(被用者保険)、自営業の人は国民健康保険というように、働き方によって加入する制度が異なります。そして高齢期になると加入するのが「後期高齢者医療制度」です。この制度は原則として75歳以上の人を対象とした医療保険制度で、75歳になると、それまで加入していた健康保険や国民健康保険から自動的にこの制度へ移行します。なお、例外として65歳から74歳の方でも、一定の障害があると認定された場合にはこの制度に加入することがあります。

後期高齢者医療制度では、医療機関で支払う医療費の自己負担割合が所得に応じて決められており、「1割・2割・3割」の三つに分かれています。制度が始まった当初は多くの高齢者が1割負担でしたが、医療費の増加と現役世代の保険料負担が重くなっていることを背景に制度の見直しが行われ、2022年10月から一定以上の所得がある人については2割負担が導入されました。現在は、一般的な所得の方は1割、一定以上の所得の方は2割、現役世代と同程度の所得がある方は3割という仕組みになっています。

では、どのような人が3割負担になるのでしょうか。3割負担となるのは「現役並み所得者」と呼ばれる人で、同じ世帯の中に課税所得が145万円以上の人がいる場合に判定されます。さらに収入の条件として、後期高齢者が1人の世帯では収入が383万円以上、後期高齢者が2人以上の世帯では収入合計が520万円以上である場合などに、医療費の窓口負担が3割となります。つまり働いている現役世代と同じ割合の医療費負担になるということです。

次に2割負担になる人ですが、これは一定以上の所得がある場合です。目安としては、世帯の中に課税所得が28万円以上の人がいて、さらに年金収入やその他の所得の合計が1人世帯では200万円以上、2人以上の世帯では合計320万円以上の場合などに2割負担となります。これらの条件に当てはまらない場合には、医療費の自己負担は1割となります。多くの後期高齢者の方はこの1割負担に該当しています。

ここで患者さんが誤解しやすい重要な点があります。それは医療費の負担割合は「本人の所得だけ」で決まるのではなく、「世帯全体の所得」で判断されるという点です。たとえばご本人の年金収入がそれほど多くなくても、同じ世帯にいる配偶者の所得が高い場合には、世帯全体が現役並み所得者と判断され、医療費の窓口負担が3割になることがあります。そのため「自分の年金は多くないのに3割になった」というケースも実際にあります。後期高齢者医療制度をまとめると、医療費の自己負担は一般的な所得の方は1割、一定以上の所得がある方は2割、現役並みの所得がある方は3割という三段階に分かれています。そしてその判定は本人だけでなく世帯全体の所得状況をもとに行われます。75歳を過ぎると医療保険の仕組みが変わるため、窓口での自己負担割合が変わることがあります。疑問がある場合は市区町村の保険窓口や保険証に記載された区分を確認すると安心です。

参考資料:LIMO「【後期高齢者医療制度】窓口負担が3割になる人の所得ボーダー」、政府広報オンライン、厚生労働省資料。

眼科医 清澤のひとこと:眼科外来でも75歳以上の患者さんは非常に多く、「医療費は1割と思っていたら2割や3割だった」という相談を受けることがあります。医療費負担は年齢だけで決まるのではなく、所得や世帯構成で決まる制度です。制度を少し理解しておくと、受診時の戸惑いが少なくなると思います。

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