清澤のコメント:これはドライアイ リサーチ アワード:受賞論文1の紹介として、広報誌フロンティア・イン・ドライアイ誌に紹介された論文です。 Am J pathol. 2021年 6月; 191(6): 1077-1093。 doi:10.1016/j.ajpath.2021.02.014。 Epub 2021年 3 月 8 日。プログラム細胞死-1経路欠損は自己免疫を強化し、マウスの涙腺炎を引き起こす。櫻井裕 ほか PMID: 33705751 DOI: 10.1016/j.ajpath.2021.02.014です。その論旨の重要性までは理解できませんでしたが、私はニボルマブなどの抗 PD-1 抗体療法の副作用でのドライアイが起きる機序を CD3+ T 細胞で説明したという事かと読みました。
その抄録
プログラム細胞死タンパク質 (PD)-1 は、免疫応答を抑制し、免疫恒常性を維持する共抑制分子です。 さらに、PD-1 経路は、免疫細胞によるがんの攻撃をブロックします。 ニボルマブなどの抗 PD-1 抗体療法は、がん患者の生存期間を改善します。 しかし、さまざまな臓器における自己免疫炎症性疾患の発生がニボルマブの副作用として報告されることが増えています。 ニボルマブに関連する障害のうち、Sicca症候群は症例の 3% ~ 11% で発生しますが、病理学的メカニズムは不明です。 PD-1 経路の欠如が涙腺の機能的および形態的障害を引き起こすかどうかは、PD-1 遺伝子ノックアウト (Pdcd1-/-) マウスを分析することによって決定されました。 組織病理学的分析により、Pdcd1-/- マウスは生後 3 ~ 4 か月で涙腺炎を発症し、加齢とともに悪化することが示されました。 フローサイトメトリー分析により、影響を受けた涙腺に浸潤している細胞は主に CD3+ T 細胞で構成され、CD19+ B 細胞はごく一部であることが確認されました。 浸潤性 T 細胞のうち、CD4+ Th 細胞サブセットは、Pdcd1 -/- マウスの涙腺炎の初期段階でインターフェロン – γ を産生する Th1 細胞で構成されていました。 Pdcd1-/- から放射線照射された野生型マウスへのリンパ球移入の実験により、Pdcd1-/- マウスの CD4+ T 細胞が涙腺炎を誘発することが確認されました。 これらの結果は、PD-1 が、活性化された CD4+ Th1 細胞によって引き起こされる涙腺における自己免疫炎症性疾患の予防において重要な役割を果たしていることを示しています。
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