角膜疾患

[No.2465] 眼科における再興・新興感染症 江口洋教授聴講録

眼科における再興・新興感染症 江口洋 近畿大准教授の聴講録

(東京都眼科医会学術講演会(28回:3月16日))

再興感染症:「かつて存在した感染症で公衆衛生上問題とならないようになって居たが、近年再び流行し始め患者数が増加してきた感染症、或いは将来的に再び増加し話題となる可能性がある感染症」、結核、マラリア、コレラ、狂犬病、ペスト、黄熱病、炭疽病など

新興感染症:「かつては知られていなかったが、この20年間に新しく認識された感染症で、局地的あるいは国際的に公衆衛生上の話題となる感染症」:コリネバクテリウム、マイクロスポリディア

白内障術前術後にキノロン系を漫然と使うべきではない。セフェム系(ベストロン)、マクロライド系(アジマイシン)、アミノグリコシド系(トブラマイシン)、クロラムフェニコール系(クロラムフェニコール)などがよい。殊に高齢者にはキノロン系を漫然と使うべきではない。

細菌検査では塗抹検査と培養を組み合わせ、メタゲノム解析を必要に応じて使うと両者陰性例で目途が立つことがある。

注;メタゲノム解析;メタゲノム解析は、環境中の細菌群集からDNAを丸ごと抽出し、遺伝子プールを構成するゲノム配列を徹底的に解読(シーケンシング)し、群集構造を明らかにするとともに、遺伝子プールの変動や環境との相互作用を解明する手法。

具体的には、メタゲノム解析は以下のようなことを行います:

  • 環境中の微生物(特に細菌)由来の膨大なDNA情報をコンピューターで解析します。
  • 細菌群集と環境との関係を明らかにします。
  • 新たな知識を発見するための知識データベースを開発します。

この分野は、バイオインフォマティクスや新型シーケンサーなどの技術の進歩により、急速に発展しています。メタゲノム解析は、環境科学、微生物学、免疫学、臨床医学などのさまざまな分野で活用されています。

追記:頭初のコリネバクテリウムのところで久方ぶりに徳島大三井幸彦前教授の名前を伺った。神経眼科でも斜視に関連するプロプリオセプションで知られる三井幸彦先生は、神経眼科に限らぬ広く深い認識をお持ちの教授だったのでしょう。

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