眼瞼痙攣

[No.2911] アーテンないしリボトリールの長期処方は認知症進行のリスクを伴うか?

眼瞼痙攣や片側顔面痙攣にボトックス注射をしている患者さんの、痙攣を軽減させる目的でアーテン(ビペリデン)やリボトリール(クロナゼパム)最少量の内服を処方することがあります。患者さんからこれらの薬剤の長期使用による認知症のリスクについて質問されましたので調査してみました。確かに、いくつかの研究が警鐘を鳴らしています。今後も再少量の処方量にする必要がありそうです。

  1. 質問:55歳以上の人の認知症のリスクは、さまざまな種類の抗コリン薬の使用に関連していますか?

    認知症と診断された患者58,769人と対応対照群225,574人を対象としたこのネストされた症例対照研究では、認知症リスクと抗コリン薬、抗パーキンソン病薬、抗精神病薬、膀胱抗ムスカリン薬、および交絡変数を調整した後の抗てんかん薬への曝露と統計的に有意な関連が認められました。

    意味 特定の種類の抗コリン薬について観察された関連性は、これらの薬が中高年の成人に注意して処方されるべきであることを示唆しています)(別の文献BioMed Central)

    抗コリン薬の使用と認知症リスク
    抗コリン薬であるアーテンは、特に高齢者において認知機能に悪影響を与える可能性が高いことが複数の研究で示されています。抗コリン薬が脳内のムスカリン受容体に作用することで、長期間の使用が認知機能低下や認知症のリスクを増加させることが示唆されています。たとえば、抗コリン薬の使用が総合的に強い認知症リスクに関連することが、2018年のBMJの研究でも指摘されています​(JAMA Network:この論文の要旨、2019年6月24日

    抗コリン薬への曝露と認知症のリスクネストされたケースコントロール研究

    キャロル・A・C・クープランド他:JAMAインターンメッド 2019年;179(8):1084-1093.DOI:10.1001/jamainternmed.2019.067 キーポイント
  2. ベンゾジアゼピン系薬剤と認知症リスク
    リボトリール(クロナゼパム)を含むベンゾジアゼピン系薬剤は、長期使用によって認知機能低下やアルツハイマー病などの認知症リスクを増加させる可能性があります。BMJの研究によると、長期間の使用は認知症発症のリスクを増加させることが報告されており、特に6ヶ月以上の使用でリスクが顕著に高まることが示されています​(AAFP)(BMJ)

これらの薬剤を使用する際には、患者のリスクと利益を慎重に評価し、特に高齢者の場合は長期使用を避けることが推奨されています。

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