眼瞼痙攣

[No.3162] 眼瞼痙攣を含む頭頚部ジストニアで見られる諸症状とは

眼瞼痙攣を含む広い概念に頭頚部のジストニアというものがあります。その状態では眼瞼痙攣ばかりでなく様々な筋のスパスム(攣縮)に伴う症状がみられることがあります。年末が近くなった本日、久しぶりに来院した患者さんにその諸症状について問われることがありました、調査の上で以下にそれら症状の内容を纏めて記載します。これらはボトックス投与によって起きたわけではなく、ジストニア(異常な筋緊張)の症状として見られることがあるというものです。眼科医が注射をするのに大きな危険がない場合には、眼周囲とともに併せてボトックスを置くことができる場合もあります。

  1. 眼瞼痙攣 (Blepharospasm)
  • 説明 :まぶたの筋肉が不随意に収縮する状態。
  • 症状 :頻繁な瞬きやまぶたが閉じたままになることがあり、視界が妨げられる。
  • 影響 :眼の機能には異常がないにもかかわらず、視力が制限される場合がある。
  1. 口顔面ジストニア (Orofacial Dystonia)
  • 説明 :顔面や口腔内の筋肉に異常な動きが生じる。
  • 症状
    • 顎の動き (Jaw movements):歯ぎしり、噛み締め、左右への動き。
    • 舌のジストニア (Tongue dystonia):舌の突出、ねじれ、話す・飲み込む際の困難。
  • 影響 :食事や会話が難しくなる。
  1. 痙性発声障害 (Spasmodic Dysphonia)
  • 説明 :声帯の筋肉がジストニアにより影響を受ける。
  • 症状
    • 声が中断される、震える、または締め付けられたような音質。
    • 話すことの持続が困難。
  • 影響 :コミュニケーションに大きな支障をきたす。
  1. 僧帽筋の痙攣 (Trapezius Muscle Spasms)
  • 説明 :肩や首の僧帽筋が不随意に収縮する。
  • 症状
    • 肩が引き上げられる、左右非対称になる。
    • 肩の痛みやこわばり。
  • 影響 :姿勢や首の動きに制限が生じる。
  1. 頸部ジストニア (Cervical Dystonia, 痙性斜頸Spastic Torticollis)
  • 説明 :首の筋肉の収縮により頭の位置が異常になる。
  • 症状
    • 斜頸 (Torticollis):頭が片側に傾く。
    • 後頸反り (Retrocollis):頭が後ろに傾く。
    • 前頸反り (Anterocollis):頭が前に傾く。
    • 側方傾き (Laterocollis):頭が横に回転または捻じれる。
  • 影響 :頭を正常な位置に保つことが困難で、痛みやこわばりを伴う。
  1. 前頭筋の痙攣 (Frontalis Muscle Spasm)
  • 説明 :額の前頭筋が不随意に収縮する。
  • 症状
    • 額のシワや眉毛の上昇。
    • 額の不快感。
  • 影響 :緊張性頭痛や表情の不自然さを引き起こす。
  1. 吹奏ジストニア (Blowing Dystonia)
  • 説明 :唇をすぼめたり、息を吹き込む動作が困難になる。
  • 症状
    • 笛を吹く、息を吹き出す動作が困難。
    • 唇の突き出しや痙攣。
  • 影響 :日常的な口の動作に支障をきたす。
  1. 口腔ジスキネジア (Oral Dyskinesia)
  • 説明 :口周りの不随意な動き。眼周囲の眼瞼痙攣に重なればメイジュ症候群と表現されることがある。
  • 症状
    • 顔をしかめる、唇を鳴らす、舌が飛び出す。
    • 噛む動作が困難。
  • 影響 :話すことや食事に影響を与える。
  1. 首の痛みとこわばり (Neck Pain and Stiffness)
  • 説明 :筋肉の過剰活動により、慢性的な痛みや不快感が生じる。
  • 症状
    • 首や肩の継続的な痛み。
    • 動作によって悪化することが多い。
  • 影響 :生活の質が低下し、機能的な制限が生じる。
  1. 頭皮ジストニア (Scalp Dystonia)
  • 説明 :頭皮の筋肉の痙攣。
  • 症状
    • 頭皮が引き締まる感覚。
    • 頭部の不快感。
  • 影響 :頭痛や異常な感覚を引き起こす場合がある。
  1. 胸鎖乳突筋の痙攣 (Sternocleidomastoid Muscle Spasm)
  • 説明 :首の回転を担当する胸鎖乳突筋の収縮。
  • 症状
    • 首が片側にねじれる。
    • 頭を回転させたり、正常な位置を保つのが困難。
  • 影響 :姿勢が悪化し、不快感を伴う。
  1. 頭の震え (Head Tremor)
  • 説明 :リズミカルな頭の揺れ。
  • 症状
    • 「はいはい」「いいえいいえ」のようなパターンで頭が動く。
  • 影響 :本態性振戦と間違われやすい。

治療

  • 薬物療法 :ボツリヌス毒素注射、抗コリン薬(アーテンなど)、筋弛緩薬(リボトリールなど)。
  • 理学療法 :ストレッチや姿勢改善。
  • 手術 :眼輪筋切除(重度の眼瞼痙攣)、深部脳刺激電極の設置療法(最重症例)。
  • 生活習慣 (Lifestyle Adjustments):ストレス軽減や日常動作の改善。
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