眼瞼痙攣

[No.3238] 遅発性ジスキネジア(薬剤性眼瞼痙攣):原因、症状、対策

遅発性ジスキネジアの概念

遅発性ジスキネジア(Tardive Dyskinesia)は、主に抗精神病薬やその他の神経系薬物の長期使用によって引き起こされる運動障害です。この障害は、薬物の使用を中止しても持続することが多く、特に高齢者や長期間薬物を使用している患者に多く見られます。

原因

遅発性ジスキネジアの主な原因は、ドーパミン受容体をブロックする薬物の長期使用です。これには、以下のような薬物が含まれます:

  • 抗精神病薬(例:ハロペリドール、クロルプロマジン)

  • 抗うつ薬(例:フルオキセチン、セルトラリン)

  • 抗パーキンソン病薬(例:レボドパ)

  • 抗不安薬(例:ベンゾジアゼピン系薬物)

これらの薬物は、脳内のドーパミンシステムに影響を与え、長期間の使用によってドーパミン受容体の過感受性を引き起こします。この結果、薬物の使用を中止しても不随意運動が持続することがあります。

症状

遅発性ジスキネジアの症状は、主に顔面や口周りの不随意運動として現れます。具体的には、以下のような症状が見られます:

  • 口や舌の不随意運動(例:舌を突き出す、唇を舐める)

  • 顔面の不随意運動(例:眉をひそめる、目をパチパチさせる)

  • 四肢や体幹の不随意運動(例:手足の震え、体のねじれ)

これらの症状は、日常生活に大きな支障をきたすことがあり、患者の生活の質を著しく低下させることがあります。

対策

遅発性ジスキネジアの対策としては、以下のような方法があります:

  1. 薬物の調整:

    • 原因となる薬物の減量や中止を検討します。ただし、薬物の中止によって精神症状が悪化する可能性があるため、慎重に行う必要があります。

    • 新しい治療薬として、バルベナジン(ジスバル)やデュテトラベナジンなどのVMAT2阻害剤が使用されることがあります.

  2. 生活習慣の改善:

    • バランスの取れた食事や適度な運動を心がけ、全体的な健康状態を改善することが重要です。

    • ストレス管理も重要であり、リラクゼーション法やカウンセリングを利用することが推奨されます。

  3. リハビリテーション:

    • 理学療法や作業療法を通じて、運動機能の改善を図ります。

    • 特に、顔面や口周りの筋肉を鍛えるエクササイズが有効です。

  4. ボツリヌス毒素注射:

    • ボツリヌス毒素を使用して、特定の筋肉の過剰な収縮を抑えることができます。この方法は、特に顔面や口周りの不随意運動に対して効果的です.

眼の健康との関連

遅発性ジスキネジアは、直接的には眼の健康に影響を与えることは少ないですが、薬剤性眼瞼痙攣のように眼瞼の不随意運動が現れることがあります。これにより、視覚の質が低下し、日常生活に支障をきたすことがあります。また、遅発性ジスキネジアの原因となる薬物の中には、眼の乾燥や視覚異常を引き起こすものもあるため、眼科医としてはこれらの症状にも注意を払う必要があります。

この情報が、遅発性ジスキネジアについての理解を深める一助となれば幸いです。何か他に知りたいことがあれば、どうぞお知らせください。

:  (https://jiyugaoka-kiyosawa-eyeclinic.com/shinkei/8214/):

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