眼瞼痙攣

[No.2701] 羞明の有無による眼瞼痙攣患者の糖代謝分布の違い: 日本神経眼科学会提出抄録です。

清澤のコメント:鈴木幸久先生が秋に行われる日本神経眼科学会に向けて「羞明の有無による眼瞼痙攣患者の糖代謝分布の違い」という演題を提出してくれました。江本先生の論文の検体数を増やして更に考察を加えたものになっています。つい先日同じ鈴木幸久先生が筆頭著者での「羞明の有無による片頭痛患者の糖代謝分布の違い」という論文が「Headach」誌(インパクトファクター4.0)に受領され発行が決まりました(羞明関連片頭痛患者における内側視床の過活動: 自著新論文紹介 | 自由が丘 清澤眼科 (jiyugaoka-kiyosawa-eyeclinic.com))。どちらでも、両側視床内側部の糖代謝亢進がキーワードのようです。

 

羞明の有無による眼瞼痙攣患者の糖代謝分布の違い

鈴木幸久1, 2, 3 清澤源弘 2, 4 石井賢二3

1; JCHO三島総合病院 眼科 2; 東京医科歯科大学 眼科

3; 東京都健康長寿医療センター 神経画像研究チーム 

4; 清澤眼科医院

神経眼科学会抄録、2024

keyword: essential blepharospasm, positron emission tomography, thalamus

 

【目的】原発性眼瞼痙攣患者において、運動系の異常に加えて羞明を自覚することが多いが、羞明を自覚するメカニズムについては不明である。原発性眼瞼痙攣患者の羞明に関連する脳糖代謝変化についてポジトロン断層法(PET)を用いて調べた。

【対象・方法】PETおよび18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)を用いて、羞明を伴う原発性眼瞼痙攣19例(男性 5例、女性 14例)、羞明を伴わない原発性眼瞼痙攣19例(男性 5例、女性 14例)の安静時脳糖代謝を測定し、健常例42例(男性 16例、女性 26) と比較した。

【結果】羞明を伴う原発性眼瞼痙攣群および羞明を伴わない原発性眼瞼痙攣群の両群とも健常群と比較して両側視床の糖代謝亢進がみられた。羞明を伴う原発性眼瞼痙攣群では、羞明を伴わない原発性眼瞼痙攣群と比較して両側視床内側部の糖代謝亢進がみられた。

【考察】原発性眼瞼痙攣において、以前から視床の活性化が報告されていて、原発性眼瞼痙攣の病態に関連した基底核‐視床‐皮質回路の賦活化が推測されている。また、視床内側部に存在する後内側腹側核は三叉神経からの入力を受け、疼痛の認知等に関連していると推測されている。

【結論】羞明を伴う原発性眼瞼痙攣群では、視床内側部の糖代謝亢進が観察され、羞明の発症に関連している可能性がある。

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