白内障

[No.3102] 後嚢下白内障(Posterior Subcapsular Cataracts, PSCs)について

後嚢下白内障(Posterior Subcapsular Cataracts, PSCs)について

PSCsは水晶体の後面、後嚢のすぐ前に形成される特定のタイプの白内障です。他のタイプの白内障よりも進行が速いことがあり、視力に大きな影響を与えることがあります。

臨床的特徴

PSCsの患者は以下の症状を経験することが一般的です:

  • 特に読書や近くを見る作業中に視界がぼやけたりかすんだりすると訴えます。
  • 明るい光や眩しさに対して敏感になり、夜間運転などが困難になります。
  • 特に夜間に光の周囲に輪(ハロー)が見える。
  • コントラスト感度が低下し、背景と対象物の区別が難しくなる。

これらの症状は、読書、運転、顔を認識するなどの日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。測定される矯正視力もはっきりと下がります。

原因となる基礎疾患

PSCsの発症リスクを高める要因として以下が挙げられます:

  • 年齢PSCsは他の白内障と比較して、若年者に多く見られる傾向があります。
  • コルチコステロイドの長期使用:ステロイド薬の長期使用は点眼ト内服共にPSCsの形成と関連しています。
  • 糖尿病:血糖値の変動が水晶体に影響を及ぼし、後嚢下混濁のリスクを高めます。
  • 放射線への曝露:がん治療や職業被曝などによる放射線被曝の影響として現れることがあります。。
  • 眼の外傷や炎症:過去の眼外傷や炎症性疾患が原因となっていることがあります。
  • 遺伝的素因:家族歴が発症リスクに関与する可能性があります。

治療に関する考慮点

PSCsの主な治療法は、水晶体の曇った部分を外科的に除去し、人工水晶体(IOL)を挿入することです。

  • 白内障手術は一般的で非常に成功率の高い治療法で、通常は外来で行われます。
  • 手術は最小限の侵襲で行われ、小さな切開をして超音波技術を使用して曇った水晶体を除去します。
  • 曇った水晶体を除去した後、眼亜依レンズIOLを挿入し視力を回復させます。
  • 手術後、ほとんどの患者は数日以内に改善を実感し、通常の生活に戻ることができます。

患者は眼科医と相談し、手術の利点とリスクを慎重に検討することが重要です。

期待される治療成績

適切な外科的治療を受ければ、ほとんどの患者は視力が大幅に改善し、多くの場合、即座に視力向上を実感できます。

  • 予後は概して良好で、多くの患者が回復後すぐに通常の活動に戻ることができます。
  • 手術には感染、出血、網膜剥離などのリスクが伴う場合がありますが、これらは比較的まれです。
  • 定期的な眼科医のフォローアップが、眼の健康を監視し、問題を早期に対処するために必要です。

文献:

  1. Posterior Subcapsular Cataract – SpringerLink
  2. Understanding Posterior Subcapsular Polar Cataracts
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