白内障

[No.3508] 強度近視のある成人の目の特徴と合併症について

当医院ではハードコンタクトレンズも取り扱いが以前からありましたので、強度近視のある目を持った患者さんが比較的多く通院しておられます。そのような方の場合、コンタクトレンズの度を合せて視力を出すことに関心が向きやすいですが、強い近視はそれ自体が失明の危険をも持った目だという自覚が必要です。

強度近視のある成人の目の特徴と合併症について

1. 強度近視とは?

  • 一般に -6D以上の近視、あるいは眼軸長26.5mm以上(ふつうの方は24mm)を「強度近視」と呼びます。

  • 単なる「ピントのずれ」だけでなく、眼球そのものが長く伸びてしまっていることが本質的な問題です。

  • そのため、目の奥(眼底の網膜や視神経)や構造に負担がかかりやすく、加齢とともに様々な合併症を起こしやすいことがわかっています。


2. 強度近視に伴いやすい主な眼の合併症

合併症名 説明
緑内障(特に正常眼圧緑内障) 視神経が傷んで見えにくくなる病気。強度近視の眼は視神経の形が脆弱で、早くから進行する場合があります。
白内障 水晶体が濁って視力が低下する病気。強度近視では比較的早期(40〜50代)に生じやすい傾向があります。
網膜剥離 網膜に裂け目(裂孔)ができてはがれる疾患。若年でも起こることがあり、失明の危険もあります。
近視性黄斑変性症 網膜の中心(黄斑部)に異常な血管が生えてくる病気で、視力低下を引き起こします。加齢黄斑変性と似た症状です。
脈絡膜萎縮や網脈絡膜萎縮 網膜の下の組織が萎縮していく変化で、視野が欠けたり視力が落ちたりします。強度近視では進行しやすいです。
後部硝子体剥離・飛蚊症 硝子体の収縮により後部硝子体剥離を生じます。この場合、視界にゴミや糸くずのような影が見えることがあり飛蚊症と呼ばれます。それが、網膜裂孔(網膜剥離)の前兆である場合もあります。

3. 強度近視の方が注意すべき点

① 自覚症状が乏しくても油断しない

  • 緑内障や網膜の異常はゆっくり進行し、初期には症状がほとんどありません

  • 「見えているから安心」ではなく、年に1回は眼科での定期検査を受けましょう。

② 突然の視力低下や飛蚊症は緊急サイン

  • 急な視野の欠けや、黒い影が増えた・光が見える(光視症)などの症状があれば、すぐに眼科を受診してください。

  • 網膜裂孔や剥離のサインであることがあります。

③ 生活習慣の見直しも大切

  • 紫外線対策(サングラス)や禁煙、生活習慣病(高血圧・糖尿病など)の管理は、目の老化や病気の進行を抑えるのに役立ちます。

④ コンタクトレンズは「見えればいい」だけではない

  • 強度近視の目はすでにリスクを抱えているため、度数管理、装用時間、眼圧、眼底の状態をトータルで管理することが大切です。

  • 定期検査でOCT(網膜の断層撮影)や眼圧測定、視野検査を受けることが重要です。


4. まとめ

強度近視は「よく見えるようにするだけ」の治療では不十分です。目の構造そのものが変化しているため、合併症のリスクに対して生涯にわたり注意が必要です。定期的なチェックと早期対応で、視力を長く守っていくことができます。

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