白内障

[No.4543] デージー(ヒナギク、Bellis perennis)の園芸品種、花弁が密に重なって丸く咲くタイプで「チロリアンデージー」や「ポンポンデージー」と呼ばれます

写真の花は、デージー(ヒナギク、Bellis perennis)の園芸品種です。とくに花弁が密に重なって丸く咲くタイプで、園芸では「チロリアンデージー」や「ポンポンデージー」と呼ばれることもあります。


春の花壇でよく見かけるこの花は、ヨーロッパ原産のキク科の植物で、日本には観賞用として入ってきました。草丈は10~20cmほどと低く、地面に広がるように葉をつけ、その中央から花茎を伸ばして花を咲かせます。葉はへら形で柔らかく、地面にロゼット状に広がるのが特徴です。写真のようにピンク色の花弁が細かく重なり合って丸く盛り上がるタイプは園芸品種で、花壇や公園の縁取りとしてよく植えられています。

デージーは寒さに強く、冬の終わりから春にかけて長く花を楽しめる植物です。日本では早春の花壇を彩る代表的な花の一つで、学校や公園の花壇にもよく植えられています。白・ピンク・赤などさまざまな色があり、素朴でかわいらしい姿から「無邪気」「平和」「希望」などの花言葉が知られています。

さて、この花には目に関係したちょっとしたトリビアがあります。英語でデージーは “daisy” と書きますが、これは古い英語の “day’s eye(昼の目)” が語源とされています。なぜ「昼の目」なのかというと、この花は朝日を受けると花を開き、夕方や曇りの日には花を閉じる性質があるからです。つまり、太陽の光に合わせて開いたり閉じたりする姿が「昼に開く目」に見えたため、この名前がついたと言われています。

この性質は植物の**光応答(光周性や日周運動)**と呼ばれるもので、太陽の位置や光の強さに反応して花が動く現象です。

眼科の立場から見ると、この話は人間の目の働きともどこか似ています。私たちの瞳孔は、明るい場所では小さくなり、暗い場所では大きく広がります。また、人間の体には「体内時計」があり、朝になると活動が始まり、夜になると眠くなるというリズムがあります。こうした生体リズムは、目に入る光が脳に伝わることで調整されています。

つまりデージーが太陽に合わせて花を開くように、人間の体も光を通して一日のリズムを調節しているのです。

もう一つ興味深い点として、デージーはキク科の植物で、同じ仲間にはキク、ヒマワリ、タンポポなどがあります。これらの植物にはカロテノイド色素が含まれており、同じ系統の栄養素として知られるルテインやゼアキサンチンは人間の網膜、特に黄斑部に多く存在しています。黄斑の健康維持に関係する成分として、近年よく耳にする方も多いでしょう。

もちろんデージーそのものを食べて目が良くなるわけではありませんが、植物の色を作る色素と人間の目の健康が同じ系統の分子でつながっているという点は、自然の面白い共通点と言えます。

春の花壇に咲く小さなデージーを眺めていると、その丸い花はまるで地面からこちらを見つめている「小さな目」のようにも感じられます。名前の由来が「昼の目」であることを思い出すと、自然の観察もまた少し違った楽しみ方ができるのではないでしょうか。

春の散歩の途中でこの花を見かけたら、ぜひ足を止めてみてください。花が太陽に向かって開く様子を観察すると、植物と光、そして私たちの「目」の働きのつながりを感じられるかもしれません。

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