睫毛の脱落に効くともいわれるビマトプロストについてその効果の機序、使用法、合併症などについて分かり易く説明してみます。(睫毛禿の諸原因を末尾に追記)
まつ毛を増やす薬「ビマトプロスト」とは?
まつ毛が薄くなったり短くなったりすることを気にされる方は多くいます。そんな方に使われることがあるのが「ビマトプロスト」という薬です。もともとは緑内障の治療に使われていましたが、まつ毛が伸びる副作用が発見され、まつ毛を増やすための外用薬としても使用されるようになりました。
ビマトプロストの効果の仕組み
ビマトプロストがまつ毛に働く仕組みは、主に次のようなものです。
- まつ毛の成長期を延ばす
まつ毛には「成長期→退行期→休止期」のサイクルがあります。ビマトプロストを塗ると、成長期の期間が長くなるため、まつ毛が太く・長くなります。 - 毛包を活性化する
まつ毛を生やす部分(毛包)が活発になり、毛の本数が増える可能性があります。 - 血流の改善
まつ毛の根元にある毛包の血流が良くなることで、より健康なまつ毛が育ちやすくなると考えられています。
使用方法
ビマトプロストは、専用のブラシまたは綿棒を使って1日1回塗ります。
- 塗る場所:上まつ毛の生え際(下まつ毛には塗らない)
- 塗るタイミング:夜の洗顔後(化粧を落とした清潔な状態で)
- 塗る量:1滴をブラシないし綿棒にとり、片方のまつ毛の根元に塗る
- 注意点:塗った後は目の中に入らないようにする
ビマトプロストの副作用・注意点
ビマトプロストには、いくつかの副作用や注意すべき点があります。
- まぶたの色素沈着(黒ずみ)
長期間使うと、まぶたが黒ずんで見えることがあります。使用を中止すると、ある程度は元に戻ります。 - 目の充血やかゆみ
目に入ると充血やかゆみが出ることがあります。目に入らないよう慎重に塗ることが大切です。 - 眼圧低下
もともと緑内障の薬なので、眼圧を下げる作用があります。眼圧がもともと低い人は、眼科医と相談して使用を検討した方がよいでしょう。 - 塗った部分の産毛が濃くなる
まつ毛の周りに薬がつくと、その部分の毛も濃くなることがあります。余分な薬はティッシュなどで拭き取るのが良いでしょう。 - 効果は使い続けないと維持できない
使用をやめると、時間とともに元のまつ毛の状態に戻るため、継続が必要です。
まとめ
- ビマトプロストは、まつ毛の成長期を延ばし、毛を太く長くする
- 1日1回、夜に上まつ毛の生え際に塗る
- まぶたの黒ずみ、目の充血、眼圧低下などの副作用に注意
- 使い続けることで効果が持続するが、やめると元に戻る
ビマトプロストを使う際は、眼科医と相談して適切に使用することが大切です。
処方の一か月後にその効果と副作用がない事を見ておきたいです。
追記:睫毛禿(まつげの脱落)の原因
睫毛禿(睫毛の脱毛)は、局所的な疾患や全身的な病気、外的要因によって生じることがあります。以下に主な原因を分類して説明します。
1. 眼瞼・まつげの局所的な疾患
- 睫毛内反(逆さまつげ)
→ 繰り返しまつげが眼球に接触し、刺激や摩擦によって脱落。 - 眼瞼炎(blepharitis)
→ 皮脂や細菌の感染により毛包が炎症を起こし、睫毛の脱落を引き起こす。 - マイボーム腺梗塞(Meibomian Gland Dysfunction, MGD)
→ 涙の脂質層の異常により、眼瞼縁の慢性的な炎症が起こり、睫毛が抜けやすくなる。 - 麦粒腫・霰粒腫
→ まつげの根元の感染や炎症により、毛包が破壊され脱毛。 - 眼瞼腫瘍(基底細胞癌、扁平上皮癌など)
→ 眼瞼腫瘍が発生すると、局所的に睫毛が抜けることがある。
2. 皮膚・自己免疫性疾患
- 円形脱毛症(Alopecia Areata)
→ 自己免疫の異常により、まつげを含めた体毛の一部が脱落。 - 尋常性天疱瘡・類天疱瘡(Pemphigus Vulgaris, Bullous Pemphigoid)
→ 眼瞼皮膚に水疱やびらんができ、睫毛が抜けることがある。 - 全身性エリテマトーデス(SLE)・強皮症などの自己免疫疾患
→ 皮膚の炎症が影響し、睫毛の成長が阻害される。
3. 全身的な疾患
- 甲状腺機能異常(甲状腺機能亢進症・低下症)
→ 代謝異常により毛の成長周期が乱れ、脱毛が生じる。 - 栄養不足(鉄欠乏、ビタミンD・ビオチン不足など)
→ 毛髪や睫毛の成長に必要な栄養素が不足すると、脱毛が進行。 - 梅毒(第二期梅毒)
→ まつげの脱落(Madarosis)が特徴的な症状の一つ。
4. 外的要因
- 過剰なアイメイクやマスカラ、まつ毛エクステ、ビューラーの使用
→ 物理的な刺激により、毛包がダメージを受ける。 - アレルギー性接触皮膚炎
→ 化粧品やアイメイク用品に含まれる成分にアレルギー反応を起こし、脱毛。 - 放射線治療や化学療法
→ がん治療の副作用で、まつげが抜けることがある。
5. その他の原因
- トリコチロマニア(抜毛症)
→ 精神的ストレスや癖で、無意識にまつげを抜いてしまう。 - 加齢による毛周期の変化
→ 年齢とともに毛の成長サイクルが遅くなり、抜け毛が増える。
まとめ
睫毛禿の原因は多岐にわたり、局所的な炎症や腫瘍、自己免疫疾患、全身疾患、外的要因などが関与します。慢性的なまつげの脱落が見られる場合は、眼科や皮膚科を受診し、原因を特定することが重要です。特に原因が見当たらない場合には上記の中で、円形脱毛症(ストレスに関連する自己免疫)や抜毛症(睫毛が気になって手を触れている)などを先ず考えます。
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