■ 6歳のお子さんのまぶたに「しこり(霰粒腫)」が残っていると言われたら
──自然に良くなることが多い経過と、治療の考え方──
お子さんのまぶたに「霰粒腫(さいりゅうしゅ)」というしこりができることがあります。最初は赤く腫れて痛みを伴いますが、今回のお子さんのように、内服薬や点眼治療で炎症が落ち着くと、まぶたの中に小さな“硬いしこり”だけが残ることは珍しくありません。
6歳くらいのお子さんでは、このしこりは自然に吸収されていくことが多く、急いで手術をする必要は通常ありません。
■ なぜしこりが残るの?
霰粒腫は「マイボーム腺」というまぶたの中にある油の分泌腺が詰まり、その中で炎症が起きることで生じます。炎症が落ち着くと痛みや赤みは引きますが、腺の内部に残った固まった油や肉芽組織がしこりとして触れることがあります。
この部分は体がゆっくりと吸収するため、数週間〜数か月かけて少しずつ小さくなることが一般的です。
■ 現在の状態と治療方針
今回のお子さんも、炎症はほぼ引いており、まぶたの上に**3×4mmほどの硬結(しこり)**だけが残っています。
当院では、しこりの吸収を促す目的で
ステロイドと抗菌薬を含んだ眼軟膏を1日1回
塗っていただく治療を続けていただくことにしました。
この治療を行いながら、3週間後に再度状態を確認させていただく予定です。これは霰粒腫の経過観察として標準的な間隔で、必要以上に頻回に来院していただく必要はありません。
■ ご家庭で気をつけてほしいこと
● 痛み・赤みが再び出た場合はすぐ受診を
→炎症が再発している可能性があります。
● 無理に押したり揉んだりしないように
→かえって悪化したり、細菌感染の原因となります。
● 温めすぎには注意
炎症期には控えるべきですが、しこりのみなら
1日1回5分程度の「軽いホットパック」は有効なことがあります。
ただし、嫌がるお子さんには無理に行う必要はありません。
■ 手術は必要?
小児の場合、手術はできるだけ避けたいと考えています。
実際、霰粒腫によるしこりは、自然に吸収されていく割合が高く、時間をかけて観察することで手術をしなくても治るケースが多くあります。
ただし、
・しこりが 何か月も同じ大きさで残る場合
・しこりが どんどん大きくなる場合
には手術を検討することがあります。
■ まとめ
6歳のお子さんに残っている霰粒腫のしこりは、現在のように炎症が落ち着いている場合、軟膏治療と時間による自然吸収が期待できる段階です。
ステロイドと抗菌薬の軟膏を用いながら、3週間後に再診していただくという今回の方針は、お子さんの負担が少なく、医学的にも妥当な対応です。
しこりが少しずつ小さくなることがほとんどですので、どうぞご安心ください。



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