結膜炎・花粉症・ものもらい (結膜疾患)

[No.3042] 結膜下出血などで用いられるアドナ、シナール、エンピナース内服薬等の作用機序と用量、注意点など

眼科で、結膜下出血や眼瞼皮下出血に対しては、出血が落ち着いて居れば温罨法なども勧められます。また、状況によっては経口薬として処方されることが有るアドナ、シナール、エンピナースなどの内服薬もあります。その作用機序と用量、注意点などを説明します。

 

結膜下出血や眼瞼皮下出血に対して処方されることのある内服薬、アドナ、シナール、エンピナースにはそれぞれ異なる作用機序や効果があり、患者の状態や目的に応じて使い分けられます。それぞれの薬の特徴、用量、注意点について説明します。

  1. アドナ(カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム)
  • 作用機序: アドナは毛細血管の透過性を改善し、毛細血管の破れを抑えることで出血を予防する効果があります。また、血液の凝固作用には影響を及ぼさないため、安全性も高いとされています。
  • 用量: 通常、成人の場合11030mg13回、食後に服用するのが一般的です。医師の指示に従い、出血の程度に応じて増減されることもあります。
  • 注意点: 長期服用する際は、血液凝固の影響がないとはいえ過剰摂取は避けるべきです。また、アドナは出血の抑制目的であり、症状の悪化防止には効果的ですが、既に発生した出血を速やかに吸収するわけではない点を理解しておくことが重要です。
  1. シナール(ビタミンC製剤)
  • 作用機序: シナールはビタミンCとともに、コラーゲン生成の促進や血管強化を助けるビタミンP(ヘスペリジン)を含んでおり、出血の予防や改善に役立つとされています。結膜や皮膚下の出血の吸収を促進するため、サポート的な役割を果たします。
  • 用量: 成人では112錠を13回、食後に服用するのが一般的です。こちらも医師の指示に基づいて用量が決まります。
  • 注意点: シナールはあくまで補助的な役割で、出血自体を止める即効性は期待できません。また、過剰摂取によってビタミンCが体内に過剰に蓄積される可能性があるため、適量を守る必要があります。胃腸が弱い患者の場合、ビタミンCが原因で胃腸の不快感が出ることがあるため、医師に相談が必要です。
  1. エンピナース(トラネキサム酸)(これはすでに発売中止です)
  • 作用機序: エンピナースは抗プラスミン作用を持ち、出血を抑制する作用が期待されます。プラスミンは血液中の線維素を分解する作用があるため、プラスミンの作用を抑えることで出血を制御することが可能です。止血効果が強いため、皮膚や粘膜の出血の抑制に用いられることがあります。
  • 用量: 通常、1250500mg13回服用しますが、出血の状態により医師の指示に基づき調整されます。
  • 注意点: トラネキサム酸は抗凝固薬などと併用する際には注意が必要です。また、腎機能障害のある患者には慎重投与が求められ、腎機能検査の結果を確認しながらの使用が推奨されます。過剰な服用は血栓のリスクを高めるため、服用量を厳守し、長期の使用には注意が必要です。

まとめ

  • アドナは毛細血管の破れ防止が目的で、比較的安全性が高く長期使用に向いています。
  • シナールはビタミン製剤として血管を強化する補助的役割を果たし、吸収促進効果を期待します。
  • エンピナースは出血抑制効果が高く、抗プラスミン作用で強い止血効果を発揮しますが、血栓リスクがあるため注意が必要です。

それぞれの薬の特性を考慮し、医師の指示に従って服用することが望まれます。また、服用後の体調変化や副作用に注意し、異常が見られた場合は速やかに相談するよう指導するのが重要です。

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