結膜炎・花粉症・ものもらい (結膜疾患)

[No.3119] 結膜炎の起炎菌としてのモレクセラ・カタラリスについて

モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)による結膜炎の特徴と治療

特徴

  1. 菌の性質

    • グラム陰性双球菌で、ヒトの上気道に常在します。
    • 時に結膜炎や中耳炎、副鼻腔炎の原因となります。
  2. 発症の特徴

    • 外傷や免疫力低下が引き金となる二次感染が多いです。
    • 小児、高齢者、免疫抑制状態の患者に注意が必要です。
  3. 主な症状

    • 結膜充血、膿性または粘性の眼脂、眼の不快感が現れます。
    • 片眼から始まり、対側眼に広がることもあります
  4. 診断

    • 眼脂や結膜擦過物のグラム染色や培養で菌を特定します。

治療上の注意点

  1. 抗菌薬の選択

    • 第一選択:ニューキノロン系点眼薬(レボフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン)
    • 代替薬:アミノグリコシド系(トブラマイシン)、クロラムフェニコール点眼薬
    • 重症例では全身的抗菌薬(アモキシシリン・クラブラン酸)併用も考慮します。
  2. 耐性菌の注意

    • β-ラクタマーゼ産生菌が多いため、ペニシリン単剤は効果がありません。
    • 第三世代セフェムやニューキノロン系が推奨されます。
  3. 感染制御

    • 手洗いやタオル共有の回避を指導します。
    • 集団生活での感染拡大防止も重要です。
  4. 基礎疾患への配慮

    • 基礎疾患がある場合、全身状態を考慮した治療が必要です。
    • 免疫抑制患者では早期治療が予後改善につながります。
  5. 経過観察

    • 症状改善が見られない場合、耐性菌や他の原因を再評価します。

まとめ
モラクセラ・カタラーリスは通常軽症ですが、特定のリスク群では注意が必要です。迅速な治療が視力保護と症状軽減に役立ちます。

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