モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)による結膜炎の特徴と治療
特徴
-
菌の性質
- グラム陰性双球菌で、ヒトの上気道に常在します。
- 時に結膜炎や中耳炎、副鼻腔炎の原因となります。
-
発症の特徴
- 外傷や免疫力低下が引き金となる二次感染が多いです。
- 小児、高齢者、免疫抑制状態の患者に注意が必要です。
-
主な症状
- 結膜充血、膿性または粘性の眼脂、眼の不快感が現れます。
- 片眼から始まり、対側眼に広がることもあります。
-
診断
- 眼脂や結膜擦過物のグラム染色や培養で菌を特定します。
治療上の注意点
-
抗菌薬の選択
- 第一選択:ニューキノロン系点眼薬(レボフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン)
- 代替薬:アミノグリコシド系(トブラマイシン)、クロラムフェニコール点眼薬
- 重症例では全身的抗菌薬(アモキシシリン・クラブラン酸)併用も考慮します。
-
耐性菌の注意
- β-ラクタマーゼ産生菌が多いため、ペニシリン単剤は効果がありません。
- 第三世代セフェムやニューキノロン系が推奨されます。
-
感染制御
- 手洗いやタオル共有の回避を指導します。
- 集団生活での感染拡大防止も重要です。
-
基礎疾患への配慮
- 基礎疾患がある場合、全身状態を考慮した治療が必要です。
- 免疫抑制患者では早期治療が予後改善につながります。
-
経過観察
- 症状改善が見られない場合、耐性菌や他の原因を再評価します。
まとめ
モラクセラ・カタラーリスは通常軽症ですが、特定のリスク群では注意が必要です。迅速な治療が視力保護と症状軽減に役立ちます。
コメント