秋に増えるくしゃみ・鼻水、その原因と眼科からのアドバイス
日ごとに空気が澄み、涼しさを感じる季節になりました。ところがこの時期、「外に出るとくしゃみが止まらない」「鼻水が出る」「目がかゆい」と訴える方が増えてきます。実は秋にも、春のスギ花粉に負けない“秋のアレルギーシーズン”があるのです。今回は、東京都周辺で今の季節に増えるアレルゲンと、眼科的に気をつけたい点をまとめます。
■ 秋の花粉とアレルゲンの特徴
東京都の観測データによると、秋〜初冬に飛散している主な花粉は、ブタクサ(キク科)・ヨモギ(キク科)・カナムグラ(アサ科) の3種類です。
これらは道路脇や河川敷、空き地などに生える草で、背が低く飛散距離は短いものの、身近な環境に多く存在するため注意が必要です。
9月から10月にかけてがピークですが、11月上旬まで症状が続く方も少なくありません。
また、秋はダニやハウスダストによる通年性アレルギーも悪化する季節です。夏の高温多湿で繁殖したダニの死骸や糞が、秋の乾燥とともに空気中に舞い上がり、鼻や目の粘膜を刺激します。くしゃみ・鼻水・目のかゆみなどが室内でも起こる場合は、このタイプのアレルギーが疑われます。
■ 眼科にも関係する秋のアレルギー
鼻炎だけでなく、花粉やハウスダストが目の結膜にも付着すると、かゆみ・充血・流涙を伴う「アレルギー性結膜炎」を引き起こします。
最近では、ドライアイやコンタクトレンズ装用者が同時にアレルギー症状を起こすケースも増えています。
花粉の多い日は、帰宅後に洗顔・洗眼を行い、衣服や髪についた花粉を落とすことが重要です。室内では空気清浄機の使用やこまめな掃除が効果的です。
■ アレルギーの原因を調べるには
「何のアレルギーかわからない」という場合には、採血による特異的IgE抗体検査が有用です。
保険診療で行える「View39(リスト39)」という検査では、スギ・ヒノキ・ブタクサ・ヨモギ・ダニ・ハウスダスト・犬猫・カビなど、主要な39種類のアレルゲンに対する抗体を一度に測定できます。
この結果により、どの花粉や物質に反応しているかが明確になり、対策の方向性を具体的に立てることができます。
採血だけで済み、結果は数日で判明するため、鼻炎や目のかゆみが長引く方は一度検査を受けることをお勧めします。
■ 治療とセルフケアの基本
治療の柱は、抗アレルギー薬の内服や点鼻薬、抗ヒスタミン点眼薬などの薬物療法です。症状が強いときは、医師の判断でステロイド点鼻や短期間の内服を併用します。
また、抗原回避も大切です。外出時はマスク・眼鏡を着用し、帰宅後は洗顔・洗眼・うがいを習慣化。室内ではカーペットや布ソファを避け、布団乾燥や掃除をこまめに行いましょう。
■ 院長からのひとこと
秋は「花粉の季節は終わった」と油断しがちですが、実はこの時期にも多くのアレルゲンが存在します。
屋外のブタクサやヨモギ、屋内のダニやハウスダストなど、複数の要因が重なることで症状が強くなる方もいます。
くしゃみや鼻水、目のかゆみが続くときは、風邪と思って放置せず、早めに耳鼻科・眼科で相談してください。
当院でも、特異的IgE抗体検査(リスト39)を保険で実施しています。正確な原因を知ることが、最も効果的な治療と予防の第一歩です。
(参考:東京都健康安全研究センター花粉観測データ、weathernews花粉カレンダー、hamacho-ent.com、brand.taisho.co.jp)
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