ビジュアルスノウ

[No.4159] 視界に「砂嵐」が見える――Rick Davisさんが語るVSSと支え合い

視界に「砂嵐」が見える――Rick Davisさんが語るVSS(ビジュアルスノウ症候群)と支え合い

米国の患者支援NPO AnCan を率いるリック・デイビスさんは、がん患者のオンライン・ピアサポートを長年続けてきた人です。VSI(Visual Snowの会)と協力してビジュアルスノウ症候群(VSS)のビデオ支援グループを始めたところ、参加者の語る症状を聞き、「自分も同じだ」と気づきました。視界一面に淡い灰色〜ベージュの細かな点がベールのように揺らぎ、残像(後像)や浮遊物様の影、青や緑の色味が見えることがある――子どもの頃から強い羞明があり、屋外では細めがち。室内外で色が変わる調光レンズや、ローズ系の薄い色つきレンズが楽だと感じていたそうです(VSS(ビジュアルスノウ症候群)の方に好まれやすい色調とのこと)。

対処のコツとして彼が勧めるのは、「ノイズ“そのもの”を見つめない」こと。視界の手前の粒を追わず、数メートル先に焦点を置いて“ノイズを透かして見る”と気になりにくい。つらいときは目を閉じて短時間休憩し、意識を「今ここ」に戻す――いわゆるマインドフルネス的な姿勢が助けになります。VSS(ビジュアルスノウ症候群)は耳鳴り(tinnitus)と併存しやすく、不安や抑うつを伴う人も少なくありません。だからこそ、一人で抱え込まないことが大切です。

VSI(Visual Snowの会)×AnCanのリアルタイム・同世代進行のサポートは、単なる掲示板やチャットと違い、顔を合わせてすぐに反応を返せます。上手なモデレーション(進行)と「評価しない・安心して話せる場」の約束があるため、参加者は症状だけでなく日常も分かち合い、仲間意識と継続的なつながりが生まれます。実際、会の外でも連絡を取り合う人が増え、「初めて同じ症状の人に会えた」「自分だけじゃないと分かった」との声が多く寄せられています。小さな出来事――たとえば参加者の猫が画面を横切って皆が和む――も、コミュニティの温かさを象徴するエピソードです。

活動の中で見えてきたのは、VSS(ビジュアルスノウ症候群)は思った以上に一般的だということ(「世界人口の数%に上る可能性」への実感)。一方で、医学界の認知はいまだ十分ではありません。彼は医療者に向けて、「器質的異常が乏しくても、感覚情報の処理レベルの不具合としてVSS(ビジュアルスノウ症候群)を受け止め、まずは症状への対処と不安の軽減を支えてほしい」と訴えます。治療薬や決定的な介入は未確立でも、光環境の調整(まぶしさ対策)、色つきレンズ、睡眠やストレス管理、段階的な外出・活動再開など、暮らしの質を保つための工夫は数多くあります。

最後に彼からのメッセージ。患者さんへ――まずはVSI(Visual Snowの会)の情報に触れ、可能なら支援グループに参加してみてください。顔出しや本名に抵抗があれば、ビデオOFFや匿名参加でも大丈夫です。医療者へ――VSS(ビジュアルスノウ症候群)を「見えないから否定」せず、患者の語りを尊重し、実践的な対処をともに探ってください。支援したい人へ――情熱を持てるテーマを見つけ、継続して関わることが力になります。

VSS(ビジュアルスノウ症候群)は「見え方」の問題にとどまらず、不安・孤立感をどう和らげるかが要です。私たち眼科も、診断の除外と併せてまぶしさ対策や心理的サポートへの橋渡しを丁寧に行っていきます。

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