神経眼科

[No.2314] ステロイドパルス療法の概要

ステロイドパルス療法を他の眼科医に勧められた患者さんに説明するためにステロイドパルス療法の概要を述べてみます。

目的: ステロイドパルス療法は、視神経炎などの炎症を伴う危険な状態からの脱出をはかるという目的があります。ステロイド剤を通常の投与量以上に、短期間に大量に投与することで、体内に起きている炎症反応を抑える治療方法です。

作用機序: ステロイドは細胞の中に入った後にグルココルチコイド受容体 (GR)に結合します。ステロイドの結合したGRは、細胞の核内へ移行し、炎症に関与する遺伝子の発現を調節すると言われています。この結果として強力な抗炎症作用と免疫抑制作用が発揮されます。

効果: ステロイドパルス療法は1000ミリグラムのステロイドを3日間連続で点滴することを1クールとして疾患によって13クール行う治療法です。ステロイドパルス療法では、通常メチルプレドニンという薬剤を3日間点滴投与し、治療効果をみながら13週間ごとに繰り返す方法が用いられます。視神経炎単発で受診した患者さんにステロイドをだらだらと使うよりもこのような短期大量使用する方が多発性硬化症に進展することが少ないという事で広く行われるようになりました。

副作用: ステロイドパルス療法の副作用として、不眠症、高血糖、高血圧、精神障害などがあります。また、感染症に対する抵抗力が低下するなどの副作用の可能性もあります。副作用の発現時期は、ステロイドパルス療法に留まることなく投与量に応じて投与数時間から3ヶ月以上経過後も出現する可能性があります。安全のためにステロイドのパルス投与は入院で行われることが多いです。

視神経炎とは:

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