神経眼科

[No.2714] 慢性疼痛患者の分子基盤解明PET研究 宮坂智之氏;を聞きました。

慢性疼痛患者の分子基盤解明

宮坂智之氏(横浜市立大学研究・産学連携推進センター)は、「AMPA受容体の密度を指標とした慢性疼痛患者における分子基盤の解明」というテーマで発表しました(第2回痛覚変調性疼痛研究会)。この研究は、痛覚伝達におけるAMPA系の重要性と、PET技術を用いた脳内AMPA受容体密度の測定による感覚過敏性の評価に焦点を当てています。 

痛みの新定義とAMPA受容体

2020年に国際疼痛学会は痛みの定義を改訂し、組織損傷がなくても痛みが生じることを認めました。これにより、痛みが多様な生物学的、心理的、社会的要因に影響される個人的経験であることが強調されました。AMPA受容体は中枢神経系の興奮性情報伝達において重要な役割を果たし、慢性疼痛の形成や維持に関与しています。

 

臨床研究とAMPA-PET技術

宮坂氏のチームは、AMPA-PET技術を用いて慢性疼痛患者の脳内AMPA受容体を定量し、健常者との比較を行いました。この研究により、痛みと連動する脳領域のAMPA受容体量の変化を同定し、慢性疼痛発症の分子基盤を明らかにすることを目指しています。

 

以前に掲載された関連研究

  • 2020年のNature Medicineには、宮坂氏が用いたAMPA受容体の可視化技術が癲癇診断法として発表されました。この技術は、精神・神経疾患の診断や治療に貢献する可能性があります。
  • 清澤注:Unilateral eyeball enucleation differentially alters AMPA-, NMDA- and kainate glutamate receptor binding in the newborn rat brain, Motohiro Kiyosawa, François Dauphin, Tsutomu Kawasaki, Patrice Rioux, Takashi Tokoro, Eric T. MacKenzie, Jean-Claude Baron c, Volume 26, Issue 3, November 1996, Pages 215-224 https://doi.org/10.1016/S0168-0102(96)01103-0
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