質問:
「ocular motor apraxia(OMA)の患者が、側方視をしようとするときに、内転させる目を閉じるという現象」が文献に記載されているか?
結論(現時点での文献ベースの回答)
現時点で、ocular motor apraxiaの患者が側方視(横方向を見ようとする)際に、内転させる眼(たとえば、右方視時の左眼、左方視時の右眼)を閉じるという現象が明確に記載された報告は、主要な文献やレビューには見当たりません。
解説と考察
1. ocular motor apraxia(OMA)について
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最もよく知られているのは Cogan型OMA。
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随意性の水平方向のサッケードが障害され、頭部の運動で視線を移す代償行動が特徴。
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垂直サッケードや追従運動は比較的保たれる。
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脳梁欠損、Joubert症候群、その他の脳奇形を伴うことがある。
2. 眼の「内転時に閉じる」動きについて
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通常の生理的瞬目反応や、Duane症候群における内転時の眼瞼裂狭小(上のサムネール画像はDuaneです)などとは異なり、意図的な内転時に眼を閉じる現象は特殊です。
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眼球運動時に瞬目が誘発される現象は、小児の神経発達異常や眼球運動異常に伴う代償行動として見られる可能性はありますが、OMAに特異的なサインとしては確立されていません。
3. 近似する報告やヒントになる文献
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Joubert症候群では、異常な眼球運動(hypermetric, hypometric saccades, gaze-holding nystagmus)や、協調運動の異常が見られ、眼瞼の運動との協調も破綻する場合があります。
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一部の症例では、眼球運動時に不随意な眼瞼運動(瞬目または眼瞼の閉鎖)を伴うことが動画などで報告されていますが、「内転時のみ」かつ「側方視の試行時に限って」という限定的なパターンの記述はありません。
4. 仮説的に考えられる可能性
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内転眼での視標追跡が困難であることに気づいた本人が、意識的・無意識的に内転眼を遮蔽する代償動作として眼を閉じる可能性。
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サッケードの障害により視線移動を達成できないことへのフラストレーションによる行動的反応。
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ミスリーディングな瞬目反応や部分的な顔面筋の共同運動(synkinesis)としての出現。
まとめ
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「OMA患者が側方視しようとする際に、内転させる目を閉じる」という現象の記載は、英語文献・医学教科書・レビュー記事等での報告は見つかりませんでした(2024年時点)。
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ただし、眼球運動異常と眼瞼運動の協調障害や、代償的行動としての瞬目・眼瞼閉鎖は、小児神経疾患において散見されるため、未報告の現象である可能性があります。
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