全身病と眼

[No.3324] アルコール依存症の危険性とその社会的背景:記事紹介

アルコール依存症の危険性とその社会的背景 (ダイヤモンドオンライン記事 要点

国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦医師は、アルコールが依存性のある薬物の中で最も危険であると指摘している。アルコールは、他者に対する暴力や迷惑行為を引き起こしやすく、脳の萎縮や臓器障害のリスクも高い。しかし、日本ではアルコールは広く受け入れられており、禁止すると社会不安が生じるため、厳しい規制がされにくい。

松本医師は、依存症の背景には「孤独」や「心的外傷」があると述べている。欧米の実験によると、孤立したネズミは依存性のあるモルヒネ水を好み、逆に仲間と共にいるネズミは普通の水を選ぶことが示された。この実験から、人間も孤独に陥ると依存症になりやすいことが示唆される。

依存症は「自己責任」とされがちだが、松本医師は人間は誰しも何かに依存して生きていると主張する。仕事後の一杯のビール、コーヒー、友人との会話などが適切な依存先になるが、依存症者は化学物質に頼ることで社会とのつながりを断ってしまう。

薬物依存の本質と治療の方向性

覚せい剤は一度使用すると中毒になると信じられているが、実際には依存症に陥るのは15%程度だという。米国の「自己治療仮説」によると、薬物依存は快楽を求めるものではなく、過去の心的外傷を緩和するための手段として用いられるケースが多い。特に虐待やDVの経験がある人は、その苦痛を薬物で紛らわす傾向が強い。

また、依存症者を厳罰で取り締まることには逆効果の側面がある。国連も「薬物依存者の犯罪化は、医療へのアクセスを妨げ、孤立を深める」と批判している。日本でも2006年にSMARPP(スマープ)という依存症治療プログラムが導入され、2016年から診療報酬加算の対象となった。このプログラムでは、患者が無理に薬をやめることを求めず、継続的な治療を受けられる環境を整えることを重視している。

依存症克服の鍵は「つながり」

「依存症」の言葉が流行する中で、松本医師はその概念の使われ方に疑問を呈している。特定の行動を監視し、制御するために「依存症」というレッテルが貼られがちだが、重要なのは「度を越した依存」に対する適切なサポートである。

米国のジャーナリストの言葉を引用し、「依存症(Addiction)の反対語は、シラフ(Sober)ではなく、つながり(Connection)である」と松本医師は述べる。依存症者が孤立しないような環境を作ることこそ、依存症克服の鍵となる。

清澤のコメント:眼の健康とアルコールの影響

アルコールの過剰摂取は、眼の健康にも悪影響を与える。慢性的なアルコール摂取は視神経障害(アルコール性視神経症)を引き起こし、視力低下や視野の異常を招くことがある。また、ビタミンB群の欠乏によって、夜盲症や黄斑変性のリスクも高まる。特に飲酒習慣がある人は、眼科検診を定期的に受け、眼の健康を維持することが重要である。

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