全身病と眼

[No.3705] 成人の2型糖尿病の診断と治療:米国医学会雑誌総説紹介

清澤のコメント:成人2型糖尿病の診断と治療のポイントがJAMAに解説されていました。概要と眼との関連をおさらいしてみます。

◎ 2型糖尿病は、世界的に最も一般的な糖尿病タイプであり、人口の14%が影響を受ける可能性があります。以下に2型糖尿病の診断と治療における重要なポイントをわかりやすく説明します。

◎ 診断基準
糖尿病は高血糖による症状(多尿、喉の渇き、疲労、意図しない体重減少)や以下の血液検査基準によって診断されます:
– 空腹時血糖値が126mg/dL以上
– HbA1c(ヘモグロビンA1c)が6.5%以上
– 75gの経口耐糖能試験で2時間後の血糖値が200mg/dL以上

◎ リスク要因
以下がリスク要因です:
– 肥満や運動不足
– 高齢化や家族歴
– 妊娠糖尿病の経験
– 血圧異常や脂質異常症など健康状態

◎ 治療方法の選択
治療は、生活習慣の改善と薬物療法を組み合わせたアプローチが基本です。

〇 生活習慣改善- 栄養バランスの良い食事やカロリー制限で体重管理。例えば、低炭水化物や地中海式食事が効果的。
– 週に244分ほどの有酸素運動でHbA1cを0.4〜1.0%低下させる効果。

〇 薬物療法
– 初期治療にはメトホルミンが推奨されます。
– 心血管や腎臓リスクを持つ患者にはGLP-1RAやSGLT2iが有効で、心血管疾患リスクを最大26%低減します。

◎ 眼科関連の合併症についての注意点

2型糖尿病は、網膜症や黄斑浮腫といった目の合併症を引き起こすことが多く、早期発見と管理が不可欠です。糖尿病網膜症は、視力低下や失明の主な原因の一つです。これを防ぐためには、HbA1cの管理、血圧・血中脂質のコントロール、そして少なくとも年に一度の網膜検査が重要です。また、黄斑浮腫に対しては、抗VEGF療法やレーザー治療が有効とされています。糖尿病患者には視覚関連の問題が発生しやすいため、眼科医との連携が治療成功の鍵となります。(当院にはレーザー光凝固装置及び網膜硝子体手術装置を備えていませんので、それが必要な場合は病院に紹介します。)

◎ 文献

1. Rita R. Kalyani, MD, MHS, et al. Diagnosis and Treatment of Type 2 Diabetes in Adults: A Review, JAMA. Accessible at [JAMA Network].

2, 比較的新しい私が共著の糖尿病網膜症の論文です。Suzuki Y, Kiyosawa M: Relationship between Diabetic Nephropathy and Development of Diabetic Macular Edema in Addition to Diabetic Retinopathy, Biomedicines, May 22, 2023, volume 11(5), article 1502[2]. この論文では、糖尿病性腎症の重症度と黄斑浮腫の発展における重要な関係について詳しく述べられています。

 

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