日曜日に「寝だめ」をすると、なぜか余計につらくなる理由
― 社会的時差ぼけという考え方 ―
最近、「社会的時差ぼけ」という言葉を耳にする機会が増えてきました。平日の疲れを取ろうとして日曜日に長く眠ったのに、月曜日の朝がかえってつらくなる、夜になっても眠れず体調が悪い、そうした経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。これは気分の問題ではなく、体の仕組みから説明できる現象です。
社会的時差ぼけとは、平日と休日で生活リズムが大きく変わることで、体内時計が乱れてしまう状態を指します。平日は仕事や学校のために早起きをし、睡眠不足になりがちです。その反動で、休日になると遅くまで起きていたり、昼近くまで眠ったりする。体にとっては、この起床時刻のズレが、毎週のように起こる「時差移動」のような負担になります。
人の体には、およそ24時間周期で働く体内時計があります。この体内時計は、朝の光を浴びることでリセットされます。ところが日曜日に昼まで眠ってしまうと、朝の光を浴びる時間が大きく遅れます。その結果、体は「まだ夜が続いている」と勘違いし、夜になっても眠くならなくなります。こうして、頭がぼんやりする、夜に眠れない、月曜の朝が極端につらい、といった状態が起こります。これは軽い時差ぼけと同じです。
疲れは、単に睡眠時間を長くすれば回復するわけではありません。大切なのは、睡眠の質とリズムです。体内時計が乱れたまま長く眠っても、脳や体は十分に休まらず、かえってだるさや不調が長引くことがあります。
眼科医の立場から特にお伝えしたいのは、光と体内時計の深い関係です。朝の自然光は、体内時計を整える最も強力な合図です。起床後に光を浴びることで、眠気をもたらすホルモンの分泌が抑えられ、夜には自然に眠くなるリズムが整います。逆に、休日にカーテンを閉めたまま昼まで眠る生活は、体内時計を大きく後ろにずらしてしまいます。
社会的時差ぼけを完全に避けることは難しいかもしれませんが、工夫次第で負担は減らせます。休日の起床時刻は平日と比べて1時間以内の差にとどめること、起きたらまずカーテンを開けて光を浴びること、寝不足は長い寝だめではなく短い昼寝で補うこと、夜遅くのスマートフォンやパソコンは控えめにすることがポイントです。
日曜日にたくさん眠ったのに体調が悪くなるのは、あなたの体が弱いからではありません。体内時計がとても正直に反応しているだけです。よく眠ることと同じくらい、同じ時間に起きることが、疲労回復と健康には重要です。週末こそ、体内時計にやさしい過ごし方を意識してみてください。
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