オフテクスというコンタクトレンズの洗浄液を作っている会社の方が、EYENCEという広報誌の「フォーサム2023大阪」特集を持って訪ねてくださいました。
そのお話によれば、今年のメイントピックは「プレミアムMPDS」だそうです。プレミアムMPDSというのは2種類の消毒成分を配合し、種々の微生物に対し高い消毒効果を発揮するマルチパーパス・ディスインフェクション・ソリューションのこと。オフテクスではクリアディユープロケアソリューションを製造、他にはジョンソンジョンソン社の製品だけがあるそうです。
ソフトレンズケア用品は煮沸消毒から化学消毒、中でも過酸化水素剤からMPS(マルチパーパスソリューション)そしてポピドンヨード剤へと進化しました。この間に2006年にはアカントアメーバ角膜炎多発事件もありました。このような問題に対し、日本ではポピドンヨード配合ケア製品が台頭しましたが、MPSにはこすり洗い励行などの啓発的動きしか見られませんでした。海外では複数の消毒成分を配合したMPSの改良が進みました。日本でも完璧なケアを行っているレンズユーザーは少ないです。
現在はMPSが広く使用されていますが、こすり洗い等が不足したまま使用を続けると眼障害のリスクがあります。プレミアムMPDSは消毒耐性をもつバイオフィルムやアカントアメーバに対しても高い消毒効果を示し感染症を予防する強力なツールになると期待されます。
現在、ソフトコンタクトレンズケア用品は1990年代の初期商品から最新の商品までが混在しています。この間にソフトレンズは素材が進化し、世代交代されましたが、ケア用品にはその兆候がありません。ケア剤の最新情報はユーザーに提供されていません。
プロケアソリューションは細菌やアカントアメーバにも有効です。オフテクス社ではMPS, MPDS, およびプレミアムMPDS(プロケアソリューション)の消毒力評価を行いました。その結果、プロケアソリューションはバイオフィルム形成菌やアカントアメーバのトロホゾイド・シストにも有効でした。
プロケアソリューションに配合されたHADにはタンパク質付着抑制と変性抑制効果がありました。HADはレンズ表面をコーティングし親水化することで、レンズへのタンパク質付着やレンズ上での変性を抑制し、快適な装用感を維持できます。HAD配合プロケアソリューションはケアするたびにレンズ表面にHADが結合して傷を修復し、ソフトコンタクトレンズを快適に小用させます。
装用感に関するアンケートでも、プロケアソリューションは其の使用後、J-CLDEQ-8のスコアは優位に低下し、乾燥感・不快感スコアも優位な低下を示したということです。
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なお、当医院及び一誠堂コンタクトではこのソリューションの見本を常備し、ソフトレンズ販売時に希望者にはその見本を提供しています。なお、その購入は近くのドラッグストアを案内しています。
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