コンタクトレンズ・眼鏡処方

[No.2980] 乱視とは何でしょうか?

学校から検査を指示されて眼科を受診する生徒がいます。遠方が裸眼では見難いという近視とか、遠方でも近方でも物を見るのに過剰な努力を要する遠視とかという単語は比較的容易に理解していただくことができます。しかしそこに乱視という言葉が出てくると説明は混乱しがちです。ざっと説明するならば、縦と横の近視度数(正確に言うならば屈折度数)が異なっているという事です。今日はこの乱視をもう少し詳しく話してみます。最近(10月11日)のAAO記事も其処を説明しています。(https://www.aao.org/eye-health/diseases/what-is-astigmatism)

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乱視は、目の角膜または水晶体の曲率が不完全なために生じる屈折異常です。正常な目はバスケットボールのように均一な丸みを帯びていますが、乱視の目はアメリカンフットボールのように楕円形になります。乱視には水平乱視(倒乱視:目の幅が高さよりも広い)と垂直乱視(直乱視:目の縦の長さが横の長さよりも長い)の2種類があります。若年層では直乱視が一般的である一方、高齢者では倒乱視がより一般的になります。どちらのタイプでも、目の不規則な形状により、近くも遠くも見えにくくなります。

乱視の主な原因は、角膜または水晶体の形状が正常とは異なることです。乱視は非常に一般的なもので、遺伝によるリスクが高いことが知られています。また、眼疾患、目の怪我、手術後にも発生することがあります。暗いところで本を読んだり、テレビの近くに座ったりすることが乱視の原因になるというのは誤解です。

乱視があると、光線が目の前部に入るときに適切に屈折しないため、近くも遠くもぼやけて見えます。乱視は近視や遠視とともに現れることが多いです。乱視の症状には、視界のぼやけ、視界の一部の歪み、眼精疲労、頭痛、目を細めてはっきり見ようとすること、目の不快感などがあります。これらの症状がある場合は、眼科医に診察してもらい、総合的な眼科検査を受けることが重要です。

乱視の診断には、視力検査表、フォロプター、自動屈折計、角膜計などが使用されます。これらの検査により、乱視の程度や軸を測定し、適切な矯正方法を決定します。(図は自動的にレンズを入れ替えられるフォロプターという視力測定に使える光学機械。)

乱視の矯正方法には、眼鏡、コンタクトレンズ、屈折矯正手術があります。眼鏡やコンタクトレンズは、目の奥の網膜に光を再焦点化することで視力を矯正します。乱視用のコンタクトレンズには、トーリックソフトレンズとRGP(硬質ガス透過性レンズ)の2種類があります。より重度の乱視や不規則乱視にはRGPレンズが適しています。屈折矯正手術では、レーザーで角膜の形状を変え、光の屈折を調整しますが、私がこれを勧める事は稀です。

乱視の測定はジオプターで行われ、正常な目のジオプター数は0です。ほとんどの人の乱視は0.50.75ジオプターで、1.5以上の測定値を持つ人は通常、コンタクトレンズまたは眼鏡が必要です処方箋には、球面度数、円柱度数、軸の3つの数字が記載されており、これらが乱視の程度と位置を示します。

乱視は適切な治療法により、正常な視力を取り戻すことができます。眼科医と相談し、自分に最適な矯正方法を選ぶことが重要です。

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