社会・経済

[No.2993] 楽天グループ副社長武田和徳さんの講演を聴いた印象録です

楽天グループ副社長(取締役副社長執行役員)の武田和徳さんのお話を順天堂大学眼科の講演会で聴講しました。武田さんは40代半ばまでトヨタ自動車に在籍され、その後楽天に転じて現在はその副社長を務めておられます。

講演では、日本企業が1989年には世界のトップ10に複数ランクインしていたものの、現在ではトヨタ1社しか残っていないことが指摘されました。トヨタは、日米間の貿易問題への対応として、1986年に米国ケンタッキー州に生産拠点を設置し、その後欧州での生産は2000年から始まったとのことです。武田さんは2006年に楽天に移籍し、アメリカ、イギリス、中国、韓国、台湾などでマーケットプレイスを展開。2016年からは多岐にわたる他業種にもサービスを広げています。

特に印象に残ったのは、トヨタでの「日本1から世界1へ」、楽天での「ゼロから日本1、そして世界1へ」という戦略の対比です。グローバル展開には、①企業理念の明文化、②トヨタの「TOYOTA WAY」、③楽天の「楽天主義」という原則が重要で、これには「お客様第一」や「勇気(courage)」などが含まれているそうです。

武田さんは、企業のグローバル化において「内なる国際化」の重要性を強調しました。トヨタでは、現地に半年間派遣された社員が現地の工員を教育しました。楽天では、全社の会議を英語で行う体制を整えました。楽天では、トップダウンで英語化が進められ、1500人の社員がTOEFL800点以上の能力を持つようになっているそうです。

さらに、グローバル品質の向上には、旧来の不文律を明文化し、標準化を進めることが不可欠であると述べられました。現地現物の科学的アプローチやデータ活用が重要で、感覚に頼らずに実験と検証を重ねることが必要だという指摘もありました。その中では大野耐一トヨタ生産方式という本も紹介されました。

また、武田さんは楽天のAI化のプランを示され、AIの力で人間の創造力を超える可能性があると述べられました。今後のテーマとして①品質革命、②クロスコース、③地域創生が掲げられました。彼のモットーである「明るく、楽しく、元気よく」を軸に、好奇心を持ち、笑顔を絶やさずに挑戦し続けることが大切であるとのメッセージが強く印象に残りました。

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