社会・経済

[No.4051] 高市早苗氏、自民党新総裁に選出 ― 医療・保健政策への期待

高市早苗氏、自民党新総裁に選出 ― 医療・保健政策への期待

自民党総裁選で高市早苗氏が小泉進次郎氏を破り、新たな総裁に選ばれました。日本では初の女性首相が誕生する可能性が現実味を帯びており、国民の関心は政治改革だけでなく、医療・福祉、経済安全保障など幅広い分野に及んでいます。特に高市氏は、5人の候補の中で唯一の「経済積極派」として評価されており、デフレ脱却と社会インフラ整備を両立させる政策姿勢が注目されます。

経済再生と医療の持続可能性

高市氏はこれまで総務大臣や経済安全保障担当大臣として、産業・技術基盤の強化に取り組んできました。その中には「医療・健康関連産業」を経済安全保障の一角と位置づける視点があります。医療機器、創薬、バイオ技術といった分野の国内生産力を強化し、海外依存を減らすという考え方は、コロナ禍を経て改めて重要性を増しています。

医療従事者の立場から見ても、薬剤や医療機器の安定供給が確保されることは、日常診療の信頼性を支える基盤です。高市氏の経済安全保障政策が、医療現場に「安心して使える医薬品・器材の安定流通」という形で実を結ぶことを期待したいところです。

デジタル化と医療情報の安全性

高市氏の得意分野は通信・IT政策です。マイナンバー制度や医療情報共有の整備にも関心を示してきました。電子カルテの標準化、医療機関間のデータ連携、AIによる診断支援の発展など、デジタル医療の推進には期待が集まります。一方で、サイバー攻撃による医療情報の流出リスクも増すため、情報保護の強化も急務です。

高市氏が推進してきた「サイバーセキュリティ基本法」の理念を医療分野にも応用できれば、個人情報保護と利便性の両立が進む可能性があります。特に眼科では画像診断や遠隔モニタリングが普及しつつあり、安全なデータ環境が整うことは診療効率向上につながるでしょう。

少子高齢化と地域医療への目配り

日本の医療を取り巻く最大の課題は少子高齢化です。高市氏は奈良県出身で、地方創生政策にも関与してきました。その経験から、地方の医療体制の維持や在宅医療の充実にも理解があるとみられます。高齢者の通院負担軽減、地域診療所の支援、訪問医療体制の強化といった施策が打ち出されれば、都市部だけでなく地方にとっても恩恵があります。

眼科領域でいえば、加齢黄斑変性や白内障、緑内障といった高齢者疾患の長期管理が現実的に行いやすくなる環境整備が求められます。遠隔診療の制度的な支援や診療報酬の見直しも含め、現場と国の対話が今後の焦点となるでしょう。

女性リーダーとしての視点にも注目

女性として初の総裁・首相となれば、医療・介護分野で働く女性の労働環境改善にも関心が向く可能性があります。医療従事者の約7割は女性であり、出産・育児と仕事の両立支援は現場の切実な課題です。高市氏自身、キャリアを築く中での男女格差に直面してきた経験を持ちます。女性活躍推進政策を医療現場にどう反映させるかも見どころです。

眼科医としての期待

眼科診療は、高齢社会における「自立した生活の鍵」を守る分野です。見える力を維持することが、介護予防や社会参加の促進に直結します。もし高市政権が「健康寿命の延伸」を国家的目標に据えるなら、視覚の健康を含めた予防医療への支援が欠かせません。

わたしたち現場の医師としても、政治の方向性を静かに見守りつつ、患者さん一人ひとりの生活の質を守る診療を続けたいと思います。


清澤眼科院長のコメント:

医療は政治や経済の影響を強く受けます。新しい政権が医療を「国の安全保障の一部」と位置づけ、現場の努力が報われる仕組みを整えてくれることを期待しています。

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